自然資本を強みとするサントリー

2014-01-16 09:20 am

統合報告の6つの資本(財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本)は、企業の強みを整理するフレームワークとしても使えそうです。6つの資本にバリューチェーンを重ね合わせると、企業の強みがうまく炙り出せるでしょう。しかし、6つの資本のうち、自然資本については、どのように企業の強みとして活かせるのかイメージが湧きにくいかも知れません。自然資本を強みとしている分かりやすい例としては、サントリーがあります。

サントリーの企業理念(Our Mission)は、「人と自然と響き合う」、基本となる価値観(Our Values)は、「チャンレジ精神(やってみなはれ)」「社会との共生(利益三分主義)」「自然との共生」の3つです。そして、コーポレートメッセージは、「水と生きるSUNTORY」です。このようにサントリーの企業理念の骨格には、自然資本のことが謳われており、その中でも特に「水」を重視しています。

ウィスキー、ビールなど、サントリーの事業は「水」に支えられています。サントリーは、ビールやウィスキーすべてに「天然水」を使っていますが、この「天然水」こそが、サントリーの源流であり、差別化の源泉になっています。創業者の鳥井信次郎が、各地の地下水を比較して、名水を生み出す山崎蒸留所の地を選んでから、ビール事業参入でも、地下水にこだわって武蔵野ビール工場の立地を決めるなど、企業の源流から水を重視しています。

プレミアム・モルツは、2012年にリニューアルし、以前は缶の下に小さく表記していた「天然水100%仕込」の文字を、商品に並べて大きく置きました。その後、キリンのラガー、サッポロの黒ラベルを抜いて、ビール市場で3位になっています。また、第3のビール市場では、「天然水仕込み」を大きく打ち出した「金麦」がシェアを伸ばしており、ミネラルウォーター市場でも、「天然水」が、市場の伸びを上回って成長しています。このように、「天然水」がサントリーの強みとして活かされています。

この天然水は、山間地が降り注いだ雨が、20年の歳月をかけて豊かな森と土壌に育まれたものです。適切に整備された豊かな森や土壌がなければ、サントリーの強みである「天然水」は、創り出すことができません。水を活かした商品を根底から強化するには、天然水を育む森と土壌という自然資本を強化する必要があるのです。

サントリーは、自然資本の重要性に気づき、2003年から自社工場の水源地を「天然水の森」として、保護活動を始めました。森林整備の面積は、現在、サントリーが国内で利用する地下水の量を将来にわたり賄うことができる7,600haを超えています。しかし、サントリーは、森林整備の面積を2020年までに12,000haまで拡大することを決め、トップの指令のもと、社員全員で取り組みことにしています。これは、自然資本という自社の強みを強化するのみならず、自社の創業精神を思い起こさせる意味合いを持つ活動です。

(参考)

「シェア逆転の真実」日経ビジネス2014.01.13

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