銀行のCSV/シェアード・バリュー

2014-07-14 09:05 am

金融危機以降、世界的に銀行は信頼を失いました。銀行が信頼と自信を取り戻すには、社会における役割を再認識する必要があるでしょう。銀行とは、どのような社会価値の創造を通じて、ビジネス価値を生み出すべき存在か、銀行の本質的CSV/シェアード・バリューとは何か、を考える必要があります。

本来、銀行は、社会の発展の中枢的役割を担っています。様々な社会問題が顕在化する中、持続可能な未来を創るために、中心的な役割を担うべき存在です。しかし、現在は、そうした存在であるとは認識されていません。何故か?それは、CSV/シェアード・バリューを実践できていないからです。社会価値の創造と利益、ROI、スケールが両立できると考えていないからです。しかし、それは過去のパラダイムに囚われた思い込みであり、銀行は、CSV/シェアード・バリューを実践するポテンシャルを持っています。

銀行によるCSV/シェアード・バリュー創造の機会としては、持続可能な社会を創ろうとしている人々のサポートのほか、これまで銀行サービスにアクセスできていなかった人々、これまでのやり方では採算が取れないため他社が撤退した顧客へのサービスの提供などがあります。世界をリードする銀行は、こうした新たなビジネスモデルを構築しつつあります。

英バークレイズは、ケア・インターナショナルやプランUKなどのNPOと協働し、従来は銀行のサービスにアクセスできていなかった人々に、お金の取り扱いに必要なスキルと基本的な金融サービスを提供するプログラムを展開しています。2009年以降、バークレイズは、1日2ドル以下で生活し、以前は銀行サービスにアクセスできていなかった513,000人の個人に預金口座と金融教育を提供しています。2015年までには、5,000のグループ口座を開くことを計画しています。これは、NPOと協働して、教育とサービスをセットで提供し新しい顧客を創造するやり方です。途上国では、規制が厳しくないため、銀行が先進国同様の保守的な態度を取っていると、新しい金融サービス市場は、通信企業やIT企業に奪われてしまいます。成長する市場でのビジネス展開を狙うのであれば、CSV/シェアード・バリューのフレークワークを用いた、柔軟な取り組みが必要でしょう。

豪ベンディゴ銀行は、1990年代、オーストラリアの地方の多くで、リストラを進める大手銀行が何千もの支店を閉鎖したことを受け、地域コミュニティと連携し、コミュニティバンクという新しいモデルを創りだしました。コミュニティバンクは、フランチャイズ形式で、各地域の市民が、自己資本金や建物、通信機器などの設備及びスタッフを提供し、ベンディゴ銀行が銀行業務のノウハウを提供します。銀行の利益の半分はコミュニティバンクの利益となり、地域のために再投資されます。このコミュニティバンクは、地域に貢献しつつビジネス的にも成功し、ベンディゴ銀行の株価は、大きく上昇しています。

このように、銀行は、コアビジネスを通じて社会的課題に対応するCSV/シェアード・バリューを創造することができます。ベンディゴ銀行のモデルも、当初は社会貢献的なもので、高い利益を上げることは難しいだろうと考えられていましたが、実際は、大きな成功を収めています。

最近、世界のCSVをリードするFSGが、”Banking on Shared Value –How Banks Profit by Rethinking Their Purpose”というレポートを出していますが、この内容も、今後紹介したいと思います。

(参考)

www.justmeans.com/blogs/the-shared-value-of-banks

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