コカ・コーラの「プロジェクト・ラスト・マイル」

2014-07-20 10:10 pm

CSVは、「経営課題」×「社会課題」×「自社の強み・リソース」が重なるところで生み出されます。「経営課題」×「自社の強み・リソース」が重なるところは、通常のビジネスで対応される領域ですが、「社会課題」という新しい視点を加えるのがCSVです。新しい収益源を得るという経営課題に対し、自社の強みを生かした新規事業創出を検討する場合に、CSVは、「社会課題への対応」という視点を加えます。

「経営課題」×「社会課題」が重なるところは、CSVの機会が存在するところですが、「自社の強み・リソース」がなければ、成功しません。その場合、外部からリソースを獲得する必要があります。CSVの場合は、社会課題に対応することで、バリューチェーンの強化やビジネス環境を整備するケースが多く、その場合は、社会課題に関心を持つ、政府・国際機関・NPO/NGOとのパートナーシップが想定されるでしょう。

「社会課題」×「自社の強み・リソース」が重なるところは、筋の良い社会貢献活動の機会です。しかし、「経営課題」と重なるCSVとならなければ、継続性に課題があり、通常、スケールアップすることは困難です。この場合、まずは社会貢献活動としてスタートしつつ、自社経営にとっての意味合いを考え、経営にとっても価値があると判断されれば、CSVとしてスケールアップできます。

コカ・コーラの「プロジェクト・ラスト・マイル」は、社会貢献活動としてスタートしました。アフリカの各地で、効率的なサプライチェーンを構築しているコカ・コーラは、アフリカで、医薬品や医療用品が十分行き届いていないという課題を知りました。アフリカの人々の医薬品等へのアクセスという社会課題に対し、自社のサプライチェーンという強みが、解決策を提供することができるという状況で、コカ・コーラは、「この課題に対応すべきか?」と自らに問いました。

この問いに対して、ブランドや評判を重視するコカ・コーラとしては、アフリカの将来市場としての重要性も考えると、やらざるを得ないでしょう。そこで、まずは社会貢献活動として、タンザニアとガーナで試行することから始めました。また、多大な資金やリソースをかけることは出来ないため、米国国債開発庁(USAID)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、ビル&メリンダゲイツ財団から資金的な支援を得るとともに、イェール大学、アクセンチュアなどの専門ノウハウの支援も得ています。その結果、5,500以上の診療所等に直接医薬品等が行き渡るようになり、医薬品等の入手可能性が20-30%向上しました。

こうした活動は、長期的に見ると、アフリカの発展を支援し市場を育てます。また、ブランド・評判の向上、人材育成、新しいチャネルの獲得など、様々な経営的メリットが想定されます。「プロジェクト・ラスト・マイル」は、経営課題にも対応するCSVであると判断されたのでしょう、コカ・コーラは、支援組織とともに、2,100万ドルを準備し、今後5年間でアフリカ10カ国まで対象国を拡大することとしています。

このように「社会課題」×「自社・リソース」の重なる領域では、政府・国際機関やNGO/NPOからの支援獲得も行いつつ社会貢献活動としてスタートし、CSVとして経営上のメリットが見込めるようであれば、さらにスケールアップしていくというやり方を考えるべきです。

(参考)

www.conecomm.com/coca-cola-medical-supplies

www.justmeans.com/blogs/coca-colas-distribution-expertise-helps-optimize-medicine-delivery-in-africa

sustainablejapan.jp/2014/07/13/coca-cola-africa/11085

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