全製品の社会価値を評価するBASF

2014-10-08 10:45 pm

CSVのセミナーなどで良く出る質問の1つとして、「CSVの成果をどう評価するのか?」があります。この場合は、定量評価を意図していると思いますが、1つの答えは、「本当に定量的な評価が必要でしょうか」です。例えば、人材育成について、大多数の企業は、特に定量的な投資対効果を求めていないでしょう。研修やOJTを通じて人材を育成することが必要であることは自明であるため、人材育成の取り組みについて、特に成果を定量的に評価することは求められていません。研究開発については、長期的な研究に対して厳密な費用対効果を予測しても当たることはまずありませんし、研究者への負荷や数値のみで判断され洞察が働きにくくなることを考えると、イノベーションの創出にとってはマイナスです。研究開発の筋の良さを見極めて投資を判断することが必要です。CSVも含め、長期的な取り組みに対して費用対効果を求めることは、それに要する労力や社員のモチベーションへの影響などを考えると、負の効果が大きいように思います。

冒頭の質問のもう1つの答えは、「いくらでも評価できます」です。CSVの活動が生み出そうとする企業価値と社会価値が明確であれば、それを測定することはそれほど難しいことではありません。前述のように投資対効果にこだわりすぎることはデメリットもありますが、CSVについて進捗状況を、KPIを定めて管理することは必要だと思います。CSVの成果測定については、FSGのレポートを引用している以下の記事をご参照いただけばと思います。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=535#.VDMvcFiCjIU

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1444#.VC-j81iCjIU

また、CSV製品については、企業価値のほうは売上、利益などで評価されるでしょうが、社会価値を評価している例も出てきています。例えば、旭化成は、CSV製品の経済・環境・社会のトリプルボトムライン価値を算出しています。

cre-en.jp/library/changing/detail_003/

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=617#.VC-kpFiCjIU

こうした製品の社会価値について、すべての製品ポートフォリオをサステナビリティの観点で評価しようとしているのが、世界最大手の化学メーカーBASFです。その品ポートフォリオの数は、実に、約5万に上ります。BASFは、以前から、環境配慮型製品の環境インパクトを、エネルギー、原材料、排出物、毒性、リスク、土地利用の6つの観点から定量化し、顧客の負担コスト視点も踏まえて評価する”Eco-Efficiency”、さらに社会軸も加えて評価する”SEEbalance”といった製品の評価手法を開発し、製品に適用してきています。

今般、製品をサステナビリティの観点からシステマティックに評価する”The Sustainable Solution Steering”という方法を創り出し、全製品を評価しようとしています。資源保全、健康、安全など製品のサステナビリティ価値を評価し、「大きく貢献している製品(Accelerators)」「市場が求めるレベルの貢献はしている製品(Performers)」「サステナビリティ価値は明確だが価値創出途上の製品(Transitioners)」「サステナビリティ上の課題のある製品(Applocations)」に分類しています。そして、現在22%であるAcceleratorsの割合を増やすことを目標にしています。

BASFは、多くの試行錯誤の末、全製品をシステマティックに評価する方法を開発し、5万もの商品のサステナビリティ価値を算出しようとしています。そこまでしようとしているのは、B to B企業として、顧客の経済価値とサステナビリティ価値の両立を支援することが非常に重要となってきているからです。サステナビリティ価値の創出は、BASFにとって大きな事業機会であり、持続可能な将来のために「化学でいい関係」をつくるという企業目的実現のカギでもあります。

(参考)

www.greenbiz.com/blog/2014/09/18/basf-evaluates-sustainability-portfolio-new-process

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