SCSKの「従業員の生産性向上」

2014-10-23 09:13 am

バリューチェーンのCSVの一つ「従業員の生産性向上」は、最近注目されており、すべての企業が検討すべきものです。従業員の健康、福祉、安全を向上させつつ、生産性を向上し、企業の競争力を高めるものです。最近、日経の「人を活かす会社」綜合ランキングでトップになったSCSKの「スマートワーク・チャレンジ20」は、その代表的事例です。残業時間の縮減および年次有給休暇の完全取得を推進しつつ、増収、増益を達成しています。

SCSKは、住商情報システムとCSKが合併して2011年に誕生した「グローバルITサービスカンパニー」で、システム開発、ITインフラ構築などを主業務としています。社員の大半がシステムエンジニア(SE)ですが、これまで業界では、SEは長時間勤務が当然という考え方が根付いていました。しかし、住友商事出身の中井戸CEOは、就任早々社内を見て回り、職場環境の悪さ、残業の多さに問題意識を持ち、「働き方の改革をやるぞ」と宣言しました。

中井戸氏は、まず社屋を移転し、1人あたりの作業スペースを1.5倍に増やしました。また、マッサージの利用を勤務中に認め、全社員に万歩計を配り、社内を禁煙とするなど、「心身の健康向上策」を次々に実行しました。さらに、13年4月から、抜本的な残業削減に取り組む「スマートワーク・チャレンジ20(スマチャレ20)」をスタートしました。以前は35時間以上もあった月間平均残業時間を20時間に削減し、年間有給休暇の取得を20日(100%)にしようとするものです。

スマチャレ20では、組織(部門)ごとに、会議の時間・人数の削減など会議の効率化、資料作成の削減、意識改革、シフト勤務の活用など、業務効率化の取組みが行われます。そして、残業時間短縮で低減された残業代を全額原資とし、目標の達成度合いに応じて社員に還元するインセンティブ制度を導入しています。インセンティブは、組織(部門)ごとに、残業時間を前年比20%削減し有給を100%取得した部門をゴールドとするなど、ゴールド、シルバー、ブロンズの3段階で還元されます。さらに、スマチャレ20の目標達成に向けて、社員から集めた様々なアイデアや取り組み事例を全社で共有し、良い施策は社内展開しています。お客様のオフィスに常駐して業務を行う社員が多いという業務特性から、お客様にSCSKの方針への理解を求めるレターも出しています。

これらの取り組みの結果、2013年度の月間平均残業時間は約22時間、有給休暇取得率は95.2%に改善しています。しかも、業務時間を短縮しつつ、SCSKは順調に増収増益を続けています。「早く帰ることで毎日リフレッシュして判断力が上がる。定時で終わらせるため集中力も高まる」というのが人事担当者の実感です。さらに副産物として、離職率は軽減し、第二子を授かる社員が36%増えています。

SCSK以外にも、「疲れていない朝の方が能率が上がる」という岡藤社長の考えのもと、午後10以降の深夜残業を禁止し、早朝勤務の割増金を引き上げた伊藤忠商事など、「従業員の生産性向上」に取り組み企業は増えつつあります。日本企業は、ホワイトカラーの生産性の低さが課題と言われ続けていますが、バリューチェーンのCSVにより、これを改善する動きがようやく出てきていると感じます。

(参考ブログ)

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=741#.VEM5A1iCjIU

(CSVについて)

bizgate.nikkei.co.jp/article/77543016.html

(参考情報)

SCSK CSRレポート2014

blog.goo.ne.jp/jitirou-aizu2/e/9f9a0f81c1d0c4df34730e6e9009819b

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