ルールメイキングのCSV

2015-01-26 08:54 am

CSVの中でも日本企業が十分対応できておらず、今後注目すべきものは、「ハイブリッド・バリューチェーン」「需要創造のCSV」「ルールメイキングのCSV」だと考えています。

「ハイブリッド・バリューチェーン」とは、企業が経営リソース、技術・ノウハウや資金調達力、NGO/NPOなどの市民組織が社会的なネットワークや知見、低コストオペレーションを提供して、相互補完的なバリューチェーンを構築し、途上国市場などでCSV/シェアード・バリューを実現しようというものです。ユニリーバが、インドの農村部で衛生製品の市場を開拓するために、インドの農村部の女性にマイクロ融資とユニリーバ製品を活用した衛生に関する啓蒙活動を行ない、USAID、ユニセフに加え、多数のNGOと協働しながらこれらの女性をチャネルとして事業展開を行っている例などが、代表的なものです。

「需要創造のCSV」は、社会や消費者の知識や意識を変えることを通じて、新しい市場を創造するものです。ユニ・チャームが新興国の女子生徒に対して、生理用品の使い方などに関する教育を行って、生理用品の市場を創造している例などが、代表的なものです。

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「ルールメイキングのCSV」は、企業活動に必要なルール形成を、社会と自社の両方に価値を生むように、政府に働きかけて、または自らが主導して推進していくものです。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=595#.VMLlY1iCjIU

日経ビジネスの最新号は、この「ルールメイキングのCSV」を特集しています。私も以前ブログで取り上げている、ダイキン工業が自社の冷媒技術「R32」を空調の次世代冷媒のグローバル・スタンダードとした事例などが紹介されています。ダイキン工業は、R32を新冷媒のスタンダードとするため、環境問題や空調関連の国際的会議に頻繁に出向き、国際機関の関係者や各国の政策責任者、オピニオンリーダーらとの交流を深めつつ、R32が如何に温室効果ガス削減に貢献するかを様々なデータを示しながら説明しました。また、HFC32搭載のルームエアコンを他社に先んじて開発し、基本特許の無償開放などを行った結果、R32を国際規格とすることに成功しました。ダイキン工業の岡田常務は、「自社の利益だけを主張しているように受け止められたら失敗する。ベストな社会環境を作るために最良の選択であることを、どれだけ客観的かつ多面的に伝えられるかが重要になる」と言っています。

これまで日本では、ルールは政府が作るもの、民間はルールを守っていれば良いという風潮がありました。民間企業は利益を追求して経済のパイを拡大し、社会的課題は政府が対応するという役割分担が明確な時代の名残でしょう。しかし、政府、民間の垣根が曖昧になり、政府、民間が協働して社会的課題に取り組むCSV時代には、そうした古い考えを捨て、企業が自社と社会の価値を両立させるルール作りに積極的に取り組む必要があります。経済産業省も昨年7月に「ルール形成戦略室」を策定し、企業と協働した国際ルール形成に取り組もうとしています。また、旭化成がルール戦略室を設置するなど、企業側でもルール形成を自ら推進する動きが出てきています。(ちなみに、ダイキン工業では、CSR部門がルールメイキングを担当しています。)

社会問題を解決する製品・サービスを開発するだけでなく、効果的なバリューチェーンに加え、需要やルールを創って市場を創造してこそ、CSVは実現できます。ルールメイキングのモメンタムは、活かして欲しいと思います。

(参考)

日経ビジネス(2015.01.26)

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