ユニリーバのサステナブル・リビング・プラン

2012-02-20 08:52 am

オランダとイギリスに本社を置くユニリーバは、食品、洗剤、ヘアケア、トイレタリーなどを主体とする、世界第3位の消費財メーカーです。(1位P&G、2位ネスレ)

ユニリーバは、2010年11月に、「サステナビリティ・リビング・プラン」という、サステナビリティを重視する企業のモデルとなる画期的なビジョンを公表しました。

サステナビリティ・リビング・プランでは、「すこやかな暮らし」「環境」「経済発展」の3つの重点課題について、以下のような具体的な中長期目標を掲げています。

【すこやかな暮らし】

#2020年までに10億人以上がより衛生的な習慣を身につけられるよう支援します。

#2020年までに5億人以上が安全な飲み水を得られるようにします。

#2020年までには、国際ガイドラインが定めた最も厳しい栄養基準を満たす商品の割合を倍に引き上げます。

【環境】

#製品のライフサイクルから生じる温室効果ガスによる負荷を2020年までに半減させます。

#消費者が製品を使う際の水使用量を2020年までに半分にします。

#製品廃棄の際に生じる廃棄物を2020年までに半分にします。

【経済発展】

#原料として使用する農作物を2020年までに100%持続可能なものにします。

#2020年までにさらに50万以上の小規模な農家と流通業者をユニリーバのサプライチェーンに迎えます。

ユニリーバが、こうした目標を掲げるのは、決して単なる社会貢献のためではありません。

ユニリーバが今後も継続して成長するためには、途上国での市場開発が欠かせません。途上国において10億人が衛生的な習慣を身につけるように支援するということは、途上国においてユニリーバの石鹸やシャンプーを普及させることであり、5億人に安全な水を提供するということは、ユニリーバの家庭用浄水器「ピュア・イット」を普及させることです。

製品のライフサイクルから生じる温室効果ガスを削減することは、資源・エネルギーを有効活用する効率的なものづくりを進めることであり、資源高騰の時代にあってはコスト削減につながるとともに、気候変動などに対する懸念が高まる中、消費者にとって受け入れやすい製品をつくることでもあります。また、消費者が製品を使う際の水使用量を削減することは、水資源が有限であることが広く認識される現在では、コストの面、意識の面から、まさに消費者が求めている製品を開発することです。

また、原料である農作物を持続可能にすることは、自社事業を持続可能にすることであり、小規模農家等をユニリーバのサプライチェーンに迎えることは、新たなサプライヤーの発掘・強化を通じて、自社の競争基盤を強化することにつながります。

ユニリーバは、こうしたビジョンを打ち出すにあたり、有識者、消費者、NGOなどとの対話を繰り返し、世界の潮流、社会のニーズをしっかり踏まえています。また、世界中のユニリーバのマネジメントとサステナビリティ専門家との間の議論を通じて今回のビジョンを策定しており、社内の納得性も担保しています。

そしてユニリーバは、こうしたビジョンを打ち出したからには、必ず実現しようとするでしょう。

過去には、自社製品の原料である魚介類の安定した調達、持続可能性を実現するため、WWFと共同でMarine Stewardship Council(MSC)を設立しており、そのMSC認証は今では「海のエコラベル」と言われ、広く普及しています。

また、途上国で衛生習慣を広め、石鹸やシャンプーを普及させるために、農村の女性にマクロファイナンスで資金を提供するとともに、セールスのトレーニングを行い、営業職員として組織化するプロジェクトを推進しています。このプログラムは、途上国におけるユニリーバの売上拡大と、ブランド浸透に大きな役割を果たすととともに、途上国の暮らしを大きく改善しています。

ユニリーバのサステナブル・リビング・プランのように、自社の社会への提供価値を見極め、その社会価値を前面に出してビジョンを策定することは、社会での評判を高め、優秀な社員を惹きつけるために有効でしょう。単に「途上国での売上を増やす」ではなく、「途上国の人々のすこやかな暮らしのために、途上国の人々が衛生的な習慣を身につけられるよう支援します。」とすると、印象が全く違います。

いかなる企業も社会に対して価値を提供しなければ存続することはできません。そして自社の提供価値を広げることが売上や利益につながります。中長期目標として、「売上○○%増大」などを掲げる企業はたくさんありますが、自社の提供価値を見極め、その提供価値を広げることを目標にするほうが、社会にとっての印象、社員のやりがいも向上するのではないでしょうか。

(参考)

www.unilever.co.jp/Images/USLP_2010_J_tcm56-252032.pdf

www.lvbs.com.ua/img/File/DevelopingTheGlobalLeaderOfTomorrowReport.pdf

www.guardian.co.uk/sustainable-business/unilever-sustainable-living-plan

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