新興国の農村市場を拓く「フィート・オン・ストリート」/「村の起業家」モデル

2015-02-16 09:05 am

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの3月号に掲載されている論文で、新興国の農村部を開拓するための方法として、インドでの事例をあげながら、「フィート・オン・ストリート」/「村の起業家」モデルが紹介されています。

インド農村部は、人口8億人を超える巨大市場で、都市部の1.5倍で消費が成長しており、現在120億ドル規模の市場が、2025年までに1,000億ドルに達すると予測されています。一方で、道路は整備されておらず、電力供給は不安定で、市場は分散し、物流ネットワークは発達していません。

こうしたインフラが未整備で分散した市場において、重要なのは、コスト効率良く住民に製品を届ける方法を確立することです。そして、その方法としてとして良くあげられるのが、「フィート・オン・ストリート」/「村の起業家」モデルです。フィート・オン・ストリートとは、企業の研修を受け、店頭陳列、受注、在庫管理、売掛金の回収等で販売代理店を補佐する店舗巡回スタッフです。

例えば、タタ・モーターズは、農村部住民を採用して、タタ・モーターズの販売店営業チームのために見込み客を発掘して報酬を得る人員である「グラム・ミトラ」(村落アドバイザー)を養成しています。また、農村部のガソリン・スタンドの経営者とのパートナーシップを結んで、顧客を紹介してもらっています。この結果、同社の小型商用車の売上は、20%増えています。

携帯電話サービスのアイデア・セルラーは、農村部の基地局の近隣村落に住む若者約4,000人(通称「大地の息子たち」)を採用し、教育しています。また、こうした地元の部隊を補完して、副収入を必要とし、自分の商売のためにすでに遠隔地の村落を巡回している「グラミン・プラティニディ」(村落代表者)を起用しています。

ボーダフォンは、「村の起業家」モデルを採用し、地元の自営業者と手を組み(必要に応じて開業を支援し)、小型店舗網を構築しています。一定の開店資金を投じた地元住民に店舗を運営してもらい。販売から技術サポートまで顧客のあらゆる通信サービスの対応してもらっています。この店舗網は大成功を収め、村落部の加入者は、9,400万人に達し、同社の顧客基盤の60%を占めるまでになっています。

また、個人的なつながりや互いの信頼関係が重視される新興国の農村部市場では、地域に貢献しているという評判を得ることが大切です。ノバルティスは、「アロギャ・パリバール」(健康な家族)というプログラムで、コミュニティで信頼されている地元の女性を採用し、巡回健康指導員として育成し、清浄水、公衆衛生、栄養不足、鉄分の不足、ワクチン接種、結核、糖尿病などの健康問題について、農村部の住民を啓発しています。また、同プログラムでは、健康スーパーバイザーという営業部隊が、最も辺境の地域でも同社の医薬品が入手できるよう、巡回しています。アロギャ・パリバールは、稼動後30ヶ月で損益分岐点に達しています。

このように新興国の農村部で事業を展開するには、地域住民との協働が重要となります。ただ製品を売るのではなく、地域の人たちを雇用し、そこで販売員などの仕事を生み出すことが大切です。また、地域の人と人のつながりを活かしつつ、地域を良くする視点が欠かせません。なお、日本でも、昔はこうした地域密着のビジネスの方法があったように思いますが、効率性のもとほとんど見られなくなっています。地方創生のためには、こうした方法の再考も必要かも知れません。

(参考)

「新興国の農村部市場をいかに制するか」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2015年3月号)

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