地域とともに発展する企業:常石造船

2015-03-12 09:11 am

先日、公務員時代の人たちとの集まりがあり、久しぶりに航空機の安全運航を担当する部署で働いていたときに上司に会ったところ、「せとうちSEAPLANES」という始めて聞く航空会社に勤務しているとのことでした。せとうちSEAPLANESは、国内造船5位の常石造船を傘下に持つツネイシホールディングスが設立した会社で、瀬戸内海で水上飛行機による観光飛行の事業を行う予定で、現在はその準備をしているとのことです。

観光飛行事業は、ツネイシの規模からすれば、大きな利益が見込めるものではないと思いますので、ツネイシにとっては、事業を通じて本社のある瀬戸内地域の発展のために貢献しようとするソーシャル・ビジネス的な取り組みではないかと思います。

ツネイシには、こうした「地域とともに発展する」という考えが根付いているようです。1994年に造船所を設立したフィリピン・セブ島でも、学校や病院の整備など地域の発展に貢献しつつ、農業と漁業が主要産業だった地域に造船城下町を形成しています。セブ島は、現在では、グループ全体の建造隻数の4割近くを占めるツネイシの最重要海外拠点となっており、地域の雇用や税収にも大きく貢献しています。

ツネイシのセブ島の造船所は、リゾートからは遠く離れた地域にあり、造船所を設立した20年前は、道路や電話回線も十分に整備されていませんでした。ツネイシは、中国、海外企業にコスト競争力で対抗するために、英語が公用語のフィリピンで、工業大学があり台風が比較的少ないセブ島に目をつけました。そして、海に面した広大な敷地が確保できた現在の場所に進出しました。

造船所は、大規模設備が必要で簡単には移転できず、また、巨大な構造物であるため機械化が進んでおらず労働集約的です。そのため、地元との濃密な関係を築き、人材育成やインフラ整備などを行い、「ともに発展すること」が重要です。ツネイシは、地元とともに発展するため、地元が必要とする学校や病院の建設支援、市場や水道施設の整備、山林での植林活動などに取り組んできています。2009年に私立大学のキャンパスが開設されたときには、建設費の約7.5億円を全額寄付しています。

現地法人の社長、会長を歴任し、現常石造船社長の河野氏は、「自社の利益だけを考えていてはうまくいかない。地元に何が必要かを考え、一緒に町を作ってきた」と述べています。

グローバル化を目指す企業は、それぞれの地域に根付いた事業展開が求められます。また、国内でも地方創生が求められる時代です。「地域とともに発展する」CSVを推進する企業が増えることを期待したいところです。

(参考)

日経産業新聞(2015年2月20日)

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