三菱ケミカルと21世紀型バランス・スコアカード

2012-02-23 04:29 pm

三菱ケミカルグループは、最近、MOS(Management of Sustainability)という新しい経営指標を導入しています。

経営の機軸として、業績に代表される経済価値向上の軸(MBA=Management of Business)、イノベーションを生み出す技術経営深化の軸(MOT=Management of Technology)に加えて、社会・地球環境の持続可能性を目指す軸(MOS)を加えようというものです。

最初にMOSの話を聞いたとき、私は、これは21世紀型のバランス・スコアカード(BSC)だなと思いました。

BSCは、「財務の視点・顧客の視点・社内プロセスの視点・イノベーションと学習の視点」の4つからなる業績管理指標で、短期・長期、財務・非財務、社内・社外、過去・未来・現在のパフォーマンスをそれぞれバランスさせようとするところに特長があります。例えば、過去=「財務」、現在=「顧客」「社内プロセス」、未来=「イノベーションと学習」をバランスさせ、持続的成長を実現しようとするものです。

しかし、21世紀の経営では、地球環境、社会経済システム、マルチステークホルダーとの関連性に配慮することなしに、本質的に持続可能な経営は出来ないのではないかと考え、BSCにもそうした視点が必要と考えていました。

それをまさに実践しようとしているのが、三菱ケミカルグループのMOSです。

MOSは、Sustainability指標(地球環境負荷の削減への貢献など)、Health指標(疾病治療への貢献、QOL向上への貢献など)、Comfort指標(より快適な生活のための製品の開発・生産、ステークホルダーの満足度の向上など)からなり、MBA指標、MOT指標とともに、全ビジネスユニットの業績管理指標とされるものです。

三菱ケミカルホールディングスの小林社長は、MOSについて、「営利活動と技術開発活動との2つにバランスさせ、社会や環境への貢献も行いながら、企業が本来的に向かうべき方向へ進めるようにと、3つ目の活動を行っていく上での基軸」、「人類活動の源泉『欲』(MBA軸)と継続的にイノベーションを生み出す『知』(MOT軸)、そこに『義』(MOS軸)も必要」としています。

人類や企業の活動が拡大、地球環境への影響が無視できなくなるとともに、経済活動が複雑となり市場メカニズムと政策による社会経済システムの維持に不確実性が増している中、社会のあり方やこれまでの企業活動のあり方に疑問を持つステークホルダーも増えています。

そうした21世紀には、MOSのような経営指標が必要だということを、小林社長は確信しているのでしょう。そうした21世紀型経営者の登場を頼もしく思うとともに、MOS的考え方や経営手法、フレームワークを広げていかねばと思う、今日この頃です。

(参考)

「地球と共存する経営」小林善光著(日本経済出版社、2011年)

三菱ケミカルホールディングス「KAITEKI Report 2011」

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