マイクロソフトのカーボン・プライシング

2015-04-22 08:03 pm

気候変動への対応が、企業の持続的な成長に大きな影響を及ぼすという考えは、少なくともグローバルの視点を持つ投資家や経営者の間では、当然のこととして広まっています。気候変動対応の一つの施策として、企業活動による炭素排出に価格を付けるカーボン・プライシングに取り組む企業も増えており、2014年時点で、グーグルやマースといった環境先進企業からエクソン・モービルまで、幅広い150社以上のグローバル企業が試行しています。

このカーボン・プライシングを推進している代表的企業の一つが、マイクロソフトです。マイクロソフトは、2012年にデータセンター、オフィス、ソフト開発研究所、飛行機での移動などにおけるCO2排出をゼロに相殺するカーボン・ニュートラル戦略を採用しました。そして、炭素価格を定め、各部門のCO2排出量に応じて対価を請求する社内チャージバック制度を設定しました。さらに、各部門から集められた資金を、カーボン・ニュートラルに向けたグリーン・エネルギーの調達、カーボン・オフセット、設備の改修などのために活用するためのファンドを設立しました。

マイクロソフトは、部門横断の“カーボン・ニュートラル協議会”を立ち上げて、カーボン・フットプリント削減、電子廃棄物のリサイクル、再生可能エネルギーの導入、カーボンオフセット・プロジェクトを進め、それらのコストを算出しています。そして、こうした施策の導入に必要な資金を削減される炭素排出量で割って、炭素価各を算出しています。マイクロソフトでは、炭素価格として6-7ドルを設定しているようです。なお、この価格は、グーグルの14ドル、ウォルト・ディズニーの10-20ドル、マースの20-30ドル、エクソン・モービルの60-80ドルなどと比較して低いものとなっています。

炭素価格の設定により、マイクロソフトは、企業活動のCO2排出による“見えざるコスト”を可視化して、ビジネス部門にCO2排出の説明責任を求めるとともに、エネルギー効率向上やCO2排出削減の投資のための資金を創り出しています。そして、マイクロソフトの各部門は、CO2排出の財務価値を考慮して予算を設定しています。この結果、マイクロソフトは、年間1,000万ドルのエネルギーコスト削減、750万トンのCO2排出削減、102億kwhの再生可能エネルギーへの新規投資を実現しています。

マイクロソフトの例に見られるように、カーボン・プライシングにより、CO2排出という見えざるコストの可視化と、その削減のための施策をうまく機能させれば、企業価値と社会価値を両立させることができるでしょう。こうしたCO2に関するCSVの取り組みは、長期的により重要性を増していくはずです。

(参考)

www.greenbiz.com/article/how-microsofts-internal-price-carbon-saved-it-10-million-year

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