BOP市場の2つのハードル

2015-05-11 09:10 am

BOPビジネスが注目されるようになってから10年経ちますが、成功事例はそれほど多くはありません。日本企業のBOPビジネスの成功事例については、ゼロと言ってもいいのではないでしょうか。日本企業も、BOPビジネスとして様々な取り組みを行っていますが、ほとんどが社会貢献の色合いが濃いソーシャル・ビジネスであり、事業として独り立ちしているとは言えない状況です。

BOPビジネスでは、良い製品を手ごろな価格で提供することは重要ですが、それだけで売れるわけではありません。特にBOPビジネスでのハードルになるのが、消費者の意識や行動を変えることと、製品を消費者に届ける手段を編み出すことです。

途上国において、消費者は長年の習慣や考えのもとで生活しています。そうした長年の習慣や考えを変え、新しい製品を受け入れてもらうには、途上国の消費者の意識啓発を通じた行動変化に大きな労力を使う必要があります。例えば、マラリア防止用の蚊帳を使ってもらうには、マラリアがどのようにして人に感染するか、毎日の取り外しは少々面倒であっても蚊帳を使うことが如何に大事かを理解してもらう必要があります。また、井戸や河川の水をタダで入手していた人たちに、清浄な水にお金を払ってもらうには、それが如何に衛生上重要であるかを理解してもらう必要があります。こうした地域に根ざした啓発活動は、企業よりも、NGOなどのほうがノウハウを持っていますので、協働することが重要でしょう。

消費者に製品を届ける手段について、BOP市場では、道路、電力などのインフラが未整備で、市場は分散し、物流ネットワークは発達していないケースがあります。こうしたインフラが未整備で分散した市場において、コスト効率良く住民に製品を届ける方法を確立することがBOPビジネスの重要な成功要因となります。この手段としては、地域住民と協働したモデルを以前紹介しています。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1767#.VU3KOliCjIU

以上で述べたような消費者の啓発は、ビジネス環境のCSVであり、消費者に製品を届ける手段の構築は、バリューチェーンのCSVです。日本企業でも、BtoCビジネスにおいて、新興国市場で成功している企業は、ビジネス環境やバリューチェーンのCSVをうまく行っているように思います。しかし、NGOや地域住民とうまく協働してCSVを進めている企業となると、今のところは、ほとんど見当たりません。今後さらにグローバルでビジネスを展開していくには、NGOや地域住民とのコラボレーションのノウハウを蓄積することも必要になるでしょう。

(参考)

「BOP市場を制するビジネス機会マップ」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2015年6月号)

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