韓国のCSV:CJグループ

2015-05-21 09:09 am

シェアード・バリュー・サミット2015に参加して感じたのは、2011年のCSV論文直後のCSVに対する真新しさから来る関心は消え、実践者による報告共有会、さらに発展させるための議論、具体的パートナーを求めるネットワーキングの場となっているということです。CSVについては、ポーター教授が言うように“ユニークネス”、“差別化”を求めるものですので、各社各様、各国各様に進められています。国別で言えば、今回のサミットでは、オーストラリアのShared Value Project、インドのShare Value Initiative Indiaによる発表がありましたし、韓国からもCJグループが分科会で発表していました。CJグループは、食品関連を中心に発展し、最近は、エンターティメントやインターネットサービスも手がける大手企業グループです。

韓国について言えば、トップマネジメントを中心に全社的にCSVを進めるCJグループのほか、CSV担当役員や専門チームを設置したヒュンダイ、サムスンなどもサミットに参加していました。しかし、話を聞いた限りでは、ヒュンダイ、サムスンは、まだ本格的にCSVを進めるための検討を行っている段階のようで、CJグループのCSVに対する力の入れ具合は、韓国でも際立っているようです。2013年に韓国の大手企業として初めてCSVマネジメント部を設置し、アジア企業として初めてShared Value Initiativeのサポーターとなり、インドの組織が中心となって運営している「CSVポーター賞」を韓国企業として初めて受賞しています。なお、CSVマネジメント部は、各グループ企業に設置されたCSVチームを統括しています。CJでは、その他にCSVマネジメント委員会、CSVマネジメント・アドバイザリー・ボードを設置しています。

CJのフラッグシップCSVプロジェクトと言えるのは、ベトナムの農村地域におけるサステナブルな農業の発展支援です。韓国料理の重要な調味料である唐辛子にとって最適な気候をベトナムの農村地域で発見しましたが、その地域は、貧困、インフラ不足等の問題を抱えていました。そこで、CJは、韓国の国際協力機関、ベトナム政府、その他の専門技術や知識を持つ企業や大学などと協力し、ベトナムの唐辛子農家をサプライチェーンに組み込み、種子の選定などのノウハウ供与による品質向上支援、農業用水の整備などによる生産性向上支援を行うこととしました。これ以外にもコミュニティ全体を支援する取り組みも行なっています。こうした活動を通じて、ベトナムの農村地域の発展を支援しつつ、高品質な唐辛子の安定調達を実現しようとしています。また、CJは、このCSV活動の社会にとっての価値と企業にとっての価値を測定するKPIを定めています。

CJのベトナムでの取り組みは、最も基本的なCSVであるネスレモデルの適用です。CJは、今後、同様のCSVをベトナム以外の地域、唐辛子以外の製品ラインに適用することを検討しています。ネスレモデルについては、日本でも伊藤園の茶産地育成事業、キリンのスリランカの茶農家支援などが行われていますが、CJのほうがCSVとして戦略的に、大規模に展開しようとしている印象を受けます。CSVについては、欧米企業のほうが先行していますが、アジアの国々も展開しはじめており、日本も国際的な競争力の観点から、遅れをとらないようにしていかなければいけません。

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