地方創生の観点からの規制緩和:路線バスと宅配便の融合

2015-06-15 09:02 am

「地域社会と企業が共有している価値を、本業を通じて創造していく」として、全国各地の自治体と連携しながら、「高齢者の見守り支援」などのCSVを進めるヤマト運輸が、また面白い取り組みを始めました。岩手県で、路線バスを活用して宅配便を輸送するというものです。

岩手県北部の路線バスと盛岡市が起点の都市間路線バスを展開する岩手県北自動車と提携し、盛岡市-宮古市の路線などに、「ヒトものバス」と名付けられた後部座席を荷台スペースにした新開発のバスを導入し、貨客混載輸送を開始しました。

高齢化、人口減少が進む地方においては、路線バスなどの生活インフラとしての公共交通機関を如何にして維持するかが課題となっていますが、物流手段としても活用することで、路線バスの採算性を高めようとするものです。これまで、路線バスと大型トラックがそれぞれ旅客と貨物を運んでいたものを一元化し、路線バスの生産性と物流の効率化を実現しています。さらに、路線バスと大型トラックの2台の移動を1台にまとめることで、CO2の排出量を低減しています。地域の生活インフラ維持と企業の業務効率化を両立させ、さらには、環境負荷も軽減しようとする取り組みです。

荷物と人を一緒に輸送する貨客混載輸送は、これまで航空機やフェリーなどでは、普通に行われてきていますが、陸上輸送については、道路運送法などで制約されていました。しかし、過疎地域での移動手段の確保の観点から、国土交通省が、過疎地域で貨客混載を認めていく方針を示しており、今回のヤマト運輸の動きは、それを踏まえたものです。

この陸上輸送における貨客混載の制限もそうですが、今ある様々な規制は、過当競争抑止による業界の健全な発展や安全性の確保など、それなりの理由があって導入されており、単なる経済合理性からの規制緩和には、役所は抵抗を示しがちです。しかし、「地方創生」などの社会的視点からの大儀があれば、役所も規制緩和には乗りやすいものです。規制緩和にあたっても、企業と役所が対立するよりは、共有目的を持って協働したほうが、効果的かつ持続的なものとなります。

国土交通省は、タクシーやトラックなどの貨客混載も認める方向で、IT機器を利用した利用者の要望と交通事業者の移動情報のマッチングも検討していくようです。貨物混載に限らず、「地方創生」を大儀とした、既存の規制を乗り越える新しいビジネスモデルは、いろいろ考えられるのではないでしょうか。

(参考)

www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=34764&oversea=0

shopping-tribe.com/news/19292/

www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/164141

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