海のプラスチックゴミ問題と製品を通じたコーズ・プロモーション

2015-07-21 09:07 am

アディダスが、海のプラスチックのごみと違法漁業の魚網を使ったスニーカーを発表しました。海のプラスチックごみ問題に取り組む団体、パーリー・フォー・ザ・オーシャンとのコラボによるものです。同団体は、デザイナー、ミュージシャン、科学者など様々な分野の人々から構成され、アディダスも創業メンバーに名を連ねています。

海のプラスチックごみの問題は、本年6月のエルマウサミットの首脳宣言でも、「海洋及び沿岸の生物と生態系に直接影響し,潜在的には人間の健康にも影響し得る海洋ごみ,特にプラスチックごみが世界的課題を提起している」として、対策がコミットされるなど、最近、世界的に注目されてきています。

海岸や川、排水溝などから海に流出したプラスチックのごみは、海洋生物や鳥類などを傷つけたり、死亡させたりして生態系に悪影響を及ぼしています。さらに、プラスチックのごみは、太陽光に当たると脆くなり砕けていきますが、分子レベルの小さな破片として残ります。これが小魚の体内に取り込まれ、食物連鎖の上位の魚や鳥、哺乳類に取り込まれながら濃縮されていき、最終的には人間に影響を及ぼすことが懸念されています。

サミットの首脳宣言でも、プラスチックごみの啓発活動の必要性が強調されていますが、アディダスは、プラスチックごみの問題を、スニーカーを通じて、啓発しようとしています。スニーカーは、海を想起させるブルーグリーンと白の組み合わせで、見た目も爽やかでデザイン的にも洗練されており、話題性があります。アディダスは、年内にもこのスニーカーを発売予定とのことです。

また、このスニーカーの繊維や糸は、プラスチックごみの一つである魚網を使っています。国連で禁止されている流し網漁が違法で行われていることがあるとのことですが、使用している魚網は、日本では捕鯨船への攻撃などで評判が良くないシー・シェパードが、110日わたる密漁船の追跡調査の際に回収したものとのことです。アディダスは、プラスチックごみ問題と併せ、違法漁業問題についての啓発も行おうとしているようです。

アディダスのスニーカーを通じた海のプラスチックごみの啓発は、特定の社会的課題(=コーズ)に対する社会や消費者の関心を高める“コーズ・プロモーション”です。アディダスのビジネスと海のプラスチックごみ問題の関連性は、それほど強いという印象ではありませんので、CSVとしての戦略的意味合いは小さいかも知れませんが、製品を通じたコーズ・プロモーションとしては、秀逸だと思います。自社製品を社会的課題の啓発に役立たせることができるという視点は、今後CSVを考える上でも、考慮すべきものだと思います。

(参考)

www.nygreenfashion.com/articles/20150702.html

www.nygreenfashion.com/html/news/20140218.html

nge.jp/2015/07/09/post-109752

www.nikkei.com/article/DGXKZO88463610U5A620C1X93000/

 

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