製薬企業ならではのソーシャル・ビジネス:GSK

2015-08-27 12:47 pm

前回ご紹介した“世界を変える企業”リスト第6位は、グラクソ・スミスクライン(GSK)です。30年以上をかけて開発した世界初のマラリアワクチンが、本年7月に欧州医薬品庁から承認されたことが、評価されたようです。また、同社は、このワクチンからは利益を得ないと宣言しており、製造コストに研究開発に再投資するための5%を上乗せするのみで販売するとしています。この点も高い評価につながっているでしょう。

子どもを中心に年間2億人以上が感染し、60万人以上が死亡する深刻な疾病でありながら、医薬品企業が注力してこなかったマラリアのワクチンを、NPOと協力して、30年以上、3.6億ドル以上を費やし、開発したことは画期的です。このワクチンは、症例を40%削減するもので、殺虫剤処理された蚊帳などとの併用が必要なものではありますが、大きな進歩であることは、間違いありません。

また、これまでの3.6億ドルに加え、今後WHOのレビューなどもあり、さらに2~2.5億ドル程度の投資が必要とされていますが、そこから利益は得ないと宣言するのも、大胆な決断です。GSKは、マラリアワクチンから得られる収入は、製薬企業が注力していない熱帯病の研究開発に再投資することとしています。これは、製薬企業ならではのソーシャル・ビジネスのモデルケースと言えます。

GSKの狙いとしては、一つには、今回“世界を変える企業”リストの上位にあげられたように、世界的な評判・影響力の向上、将来の成長市場である途上国でのブランディングなどがあるとは思いますが、それだけではないようです。NPOと協力して実施しているマラリアワクチンの開発で得られる知識・ノウハウは、GSKがワクチンビジネスを拡大する上で、有効のようです。GSKがすでに発表している帯状疱疹のワクチンには、マラリアワクチンの知識・ノウハウが活かされているとのことです。また、将来的には、C型肝炎やHIVにも応用できる可能性があるとのことです。

GSKは、マラリアワクチンの取り組み以外にも、2050年までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指す、全社的にサステナビリティの意識を浸透させ、ミドルからのイノベーションを促すなど、時代のニーズに適応しようとしています。日本の製薬企業、製薬以外の業界の企業にとっても、GSKから学べる点は、多くあるでしょう。

(参考)

fortune.com/change-the-world/

www.econetworks.jp/internatenw/2015/08/malaria-2/

www.sustainablebrands.com/news_and_views/communications/diageo-gsk-anglo-american-top-2013-ftse-350-climate-change-report

www.greenbiz.com/article/gsk-ceo-wittys-wisdom-middle-drives-sustainability

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