創業者の想いを活かす:フォード

2015-09-17 09:51 pm

仕事柄、経営者の考えを直接、間接に伺う機会も多いのですが、創業家の方は、社会価値創造への関心が高いことが多いように思います。企業を持続させるために経営を長期視点で考える立場、創業者の想いを引き継ぐ立場にあることが、その背景にあるのかも知れません。

フォード・モーターは、言うまでもなく、自動車王ヘンリー・フォード氏が創業した会社です。ヘンリー・フォード氏は、利益は適度に抑えて、自動車に乗ることを楽しめる人を増やし、賃金や雇用を増やすことを重視していました。そして、株主や産業界の反対を押し切って、T型フォードの価格を大幅に下げ、社員の賃金を大幅に下げました。「奉仕を主とする事業は栄える。利得を主とする事業は衰える」「利益以外生み出さない企業は、好ましくない種類の企業である」とも言っており、非常にCSV的人物と言えるでしょう。

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ヘンリー・フォード氏は、また、自動車が化石燃料や鉄鋼など再生不可能な資源を使用することは望ましくないと考えており、自動車産業を持続可能なものにすべきと考えていました。実際、バイオエタノール燃料の使用や大豆繊維プラスチックによる自動車生産の研究を進めていました。

こうした社会重視、サステナビリティ重視の考えは、曾孫のビル・フォード氏にも受け継がれました。ビル・フォード氏は、経営に参画するようになった1990年代からフォードを如何にサステナブルな会社、社会問題の解決に貢献する会社にするかを考えてきました。しかし、会長兼CEOを務めた2001年~2006年当時は、収益性が求められ、社内外にサステナビリティの重要性は訴えていたものの、実際の活動は、なかなか進みませんでした。しかし一方で、財務的観点からのサステナビリティ関連プロジェクト中止の圧力には抵抗し続けました。なお、ビル・フォード氏は、NGO等とのコラボレーションにも熱心で、本人曰く「グリーンピースの会議で講演した始めてのエグゼクティブ」といったこともしています。

そうするうち、ビル・フォード氏が会長に専念するようになった2006年頃から、石油価格の高騰もあり、消費者がスモール・カー、燃費の良い車を求めるなど、状況が変化し始めました。フォードも、ビジネスだけでなく、社会、環境面の目標も掲げ、サステナビリティ委員会、サステナビリティ担当副社長を設置し、組織的な取り組みを進めるようになりました。社員レベルでも、全社員が報酬に連動するサステナビリティ目標を掲げています。

現在では、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車の販売に加え、ピックアップトラックのボディのアルミ化、コカ・コーラ、ナイキ、P&G、ハインツなどと異業種連携したバイオプラスチックの開発などを進めています。こうした取り組みの結果、グリーンブランドランキングで、世界No.1となっています。

フォードがサステナブルな企業として成功しつつあるのは、業績が厳しいときでも、創業者の想いを受け継ぐビル・フォード氏が、サステナビリティの取り組みへの投資を継続してきたことが大きいでしょう。如何なるときでも、創業者の社会や環境に対する想いを受け継ぎ、活かしていくことは、重要です。

(参考)

“LEADING SUSTAINABLE CHANGE”, Rebecca Henderson, Ranjay Gulat, Michael Tushman著(OXFORD UNIVERSITY PRESS, 2015.01.29)

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