トヨタ「環境チャレンジ2050」とそのCSV的影響

2015-11-16 09:04 am

先月14日、トヨタ自動車が2050年までに2010年比で新車のCO2排出量を90%削減する「新車CO2ゼロチャレンジ」のほか、「ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」「工場CO2ゼロチャレンジ」「水環境インパクト最小化チャレンジ」「循環型社会・システム構築チャレンジ」「人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ」の6つチャレンジによる「環境チャレンジ2050」を発表し、話題になりました。

トヨタの「環境チャレンジ2050」は、「新車CO2ゼロチャレンジ」を例にとっても、短期的な燃費改善目標、2020年の中期的なHVやFCVの販売目標なども含んでおり、かなり具体的です。2050年に向けても、エンジン車、HV、PHV、FCV、EVの販売比率の変化イメージを示していますし、大型トラックや路線バスを含む長距離移動はFCV、小型宅配車両、パーソナルモビリティなどの近距離移動はEV、その中間はHV・PHVなどのモビリティの棲み分けイメージを示しています。

気候変動の深刻な影響を防ぐために必要とされる産業革命からの気温上昇2℃以内を実現するためには、IPCCは、2050年には世界全体で、10年比で40~70%の温暖化ガスの排出削減をする必要があるとしていますが、トヨタは、世界のトップ企業としては、2010年比90%削減は必要と考えたのでしょう。そういう意味では、あるべき姿からバックキャスティングで考えた目標だと思います。

2050年目標といった長期目標については、2008年にセイコーエプソンが、2050年までに商品・サービスのライフサイクルにわたるCO2排出を10分の1にする、2009年にリコーが、ライフサイクルでの温室効果ガス排出量を2000年度比で2050年までに87.5%削減するなどの目標を掲げています。一時期、こうしたバックキャスティングで長期目標を設定する動きがありました。私が所属するクレアンでも、こうしたバックキャスティングでの長期目標設定や長期シナリオ作りの支援をしていましたが、課題としては、長期目標が実際の戦略や活動に落とし込まれないということがありました。

しかし、トヨタの「環境チャレンジ2050」は、具体的な達成イメージやロードマップが想像できるものであり、実際、6つのチャレンジを具現化するために、2016~2020年度までに実施すべき活動を明確にした第6次「トヨタ環境取組プラン」に落とし込まれています。トヨタには、このまま、2050年まで、PDCAを回し続けることを期待したいと思います。また、現在は「環境チャレンジ」ですが、経営戦略として位置付け、トヨタのCSV戦略として推進してもらえればと思います。

トヨタと世界No.1を争っていたフォルクスワーゲンが、排ガス不正問題で売上げを落とすことが想定され、トヨタは、世界No.1の地位を確立することが確実です。しかし、世界No.1企業として、次の目標が世界販売台数2,000万台などでは、社内を鼓舞するには、力不足です。その点、CSV目標として、社会・環境問題への対応、新しいモビリティの世界を創ることを目標とすることは、大いに意味があります。

なお、トヨタは、「(材料・部品・モノづくりを含めた)ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」なども目標として掲げています。サプライヤーや自動車分野への参入を検討している企業を中心に、関連企業も他人事ではいられません。関連業界もこれを機会にCSV目標、CSV戦略を掲げては如何でしょうか。

(参考)

newsroom.toyota.co.jp/en/detail/9886860

www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/challenge2050/index.html

www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/plan/sixth_plan/index.html

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