シスコのサプライチェーン・ダイバーシティ

2015-12-21 01:45 pm

最近は、女性活躍を中心に、多くの企業でダイバーシティの取組みが進められています。それが社会的要請であるというCSR的側面もありますが、ダイバーシティを適切に進めれば、企業の競争力を高めることができるという考えがその推進力になっている面もあります。ダイバーシティが進んでいる企業のほうが、業績が良く、優れた人材を惹きつけることができるといった調査結果は、たくさんあります。

しかし、ダイバーシティは、“適切”に進めなければ、逆に業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。この点について、入山章栄氏の「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」では、ダイバーシティには、能力・経験などの「タスクのダイバーシティ」と性別・人種などの「デモグラフィーのダイバーシティ」があり、「タスクのダイバーシティ」は組織のパフォーマンスにプラスの効果をもたらすが、「デモグラフィーのダイバーシティ」は、組織パフォーマンスに影響を及ぼさないか、むしろマイナスの効果をもたらすということが、最近の経営学の研究結果で得られているとしています。

上記の理由として、タスクのダイバーシティは、多様な知識の組み合わせにより、企業の創発力を高めるが、デモグラフィーのダイバーシティは、組織内グループ化とその対立といった「断層」を生み出す恐れがあるとしています。すなわち、現在日本企業で進められているデモグラフィーのダイバーシティを組織のパフォーマンスに結びつけるためには、組織の断層を生み出さないような工夫、デモグラフィーのダイバーシティをタスクのダイバーシティの視点で考えることなどが、必要ということでしょう。

グローバル企業の多くは、ダイバーシティを適切にマネジメントする工夫を重ねて、それをうまく組織のパフォーマンスにつなげているように見えます。組織のダイバーシティが競争力につながるのであれば、サプライチェーンのダイバーシティも適切に行えば、バリューチェーン全体での競争力強化につながる可能性があります。それにチャレンジしているのが、シスコです。

シスコは、サプライチェーンにおいて、調達金額の10%を、女性、マイノリティ、障がい者などが経営する企業から調達することを目標に掲げ、サプライチェーンのダイバーシティを進めるプログラムを展開しています。シスコは、こうした取り組みが、新しいスキルや視点との出会いによる創発力の強化、市場環境の不確実性が高まる中での柔軟で幅広い視点の獲得、地理的なダイバーシティによる危機への対応力や輸送コストの削減、地域コミュニティのニーズの汲み取りなどをもたらすと考えています。

シスコでは、サプライチェーンのダイバーシティを進める中でシスコの管理職がサプライヤーのメンターとなり経営のアドバイスをする取り組みも進めています。シスコの管理職は、サプライヤーの経営者と接することで、新しい視点や様々な刺激を受けます。サプライヤーが提供するモノやサービスだけを見るのではなく、サプライヤーをパートナーと考え、人と人とのインタラクションの中で、共に価値を生み出しています。

複雑で不確実性の高い時代には、様々な領域でダイバーシティを適切にマネジメントすることが、他社との差別化につながります。社内だけでく、サプライチェーンのダイバーシティを進めることは、多様な企業の発展、地域や社会全体の発展に貢献しつつ、自社の競争力を高めるもので、CSVとしても面白い取り組みです。

(参考)

www.justmeans.com/blog/creating-value-in-ciscos-supply-chain-through-diversity

 

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