トップ主導の“非競争分野の協働”

2015-12-28 09:30 am

週間ダイヤモンドの企画で、キリンビールの布施社長とアサヒビールの小路社長が、対談していました。オープンな場で競合企業のトップ同士が対談するというのは、珍しいですね。特にビール業界は、営業現場で「取った取られた」の直接競争が激しく、他業界に比べても競合に対する意識が強いように思いますので、余計に意外な印象を受けました。

アサヒビールの小路社長によれば、ビール類市場は、1994年の714万リットルから2014年には541万リットルまで減少しており、人口減少、少子高齢化、若者のお酒離れなどを考えると、ビール類市場のマイナストレンドは大きく変わることはなく、この対談は、「ビール業界が厳しい状況だから実現した」ということです。これまではビール4社でシェア争いをしてきたが、これからはシェア争いではなく、どうすれば業界全体で価値を生み出すことができるかを真剣に考えないといけないということです。

ビール業界として価値を生み出す方法の一つが、対談でも言及されていますが、競争分野と非競争分野を分け、非競争分野で協働することです。例えば、キリンビールの布施社長は、以前グループ会社の小岩井乳業の社長をしていましたが、乳業界では低い利益率を改善すべく、競合会社同士が物流の共同配送や製造の受委託を共存共栄で行っています。この「非競争分野での協働」により、業界で1%だった利益率が2-3%まで改善しているそうです。ビール業界でもキリン、アサヒ、サッポロによる共同配送は行われ始めており、各メーカーで年間数千万円のコストダウンに成功しているということです。

なお、「非競争分野での協働」については、以前ブログに書いていますが、主要食品・飲料企業などによる日本TCGF(The Consumer Goods Forum)でも、500mlのペットボトル入り茶系飲料の梱包資材(ダンボール・カートン)を標準化・規格化し、コストを削減し、作業効率を改善しつつ、CO2排出を削減しようとする「カートンプロジェクト」を推進しています。業界全体での非競争分野での協働を通じたCSVの取り組みです。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=475#.Vn8xT1iCjIU

対談でも語られていますが、「非競争分野での協働」は、トップダウンのほうが進めやすいことは、間違いありません。「種」は沢山あるようですので、カルテルにならないよう検証しながら、積極的に進めていってもらいたいと思います。非競争分野での協働は、社会的課題に対応するCSVとなるケースが多いので、多くの業界において、業界全体の価値と社会価値の両方を創造する観点から、積極的に進めていってもらいたいと思います。

(参考)

diamond.jp/articles/-/83601

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