世界No.1CEOとCSVマインドセット

2016-01-11 02:04 pm

最新のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー誌に「2015年版世界のCEOベスト100」の記事が掲載されていました。これまでは、財務パフォーマンスに基づいて世界のベストCEOを発表してきましたが、2015年版では、ESG評価も加味しており、長期的な財務データ80%、ESGパフォーマンス20%の比重で評価しています。優れたCEOの評価にESGの観点を含めているのは、時代の流れを反映しています。

財務データのみに基づいて評価を行った2014年版では、アマゾン・ドットコムのジェフリー・ベゾス氏が1位でしたが、2015年版では、財務ランキングは相変わらず1位ですが、ESGランキングが828位(907人中)と低く、全体評価は87位に急落しています。代わって1位なったのが、デンマークの製薬企業、ノボノルディスクCEOのラース・レビアン・ソレンセン氏です。財務面パフォーマンスは6位でしたが、ESG面の評価が高く総合で1位となっています。ESG側面で、ノボノルディスクが、開発途上国の消費者に糖尿病治療薬を大幅に値引きして販売すると決めたこと、ロビー活動の透明性が高くて限定的なこと、動物実験に対する責任を明確にする方針を持っていることなどが評価されたようです。

同記事には、ソレンセン氏のインタビューも掲載されていますが、同氏が非常にCSV思考を持った人だということが、良く分かります。ソレンセン氏は、言っています。「企業の社会的責任とは、長期スパンで自社の価値を最大化することにほかなりません。長い目でみれば、社会的要素や環境的要素は財務的要素につながります。」

ソレンセン氏の考え方は、企業が環境や社会面で適切な対応を取っていなければ、政府や社会が適切な対応を取るよう規制強化や反対運動などが起こり、企業にとってかえってコスト高になるというものです。そのため、長期的視野で考えると、企業は政府や社会に先んじて、環境や社会面で適切な対応を取る必要があるというものです。

ノボノルディスクが、開発途上国で糖尿病治療薬を大幅に値引きしているのも、南アフリカでエイズ治療薬の根付けに関して批判されるのを見て、「同じような対立が糖尿病治療薬で起こったらどうなるだろうか、どう対処すべきだろうか」と考えた結果の対応です。www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1137#.VpChCliCjIU

また、ノボノルディスクが糖尿病治療薬に依存し過ぎている(売上の80%)のではないかとの指摘に対しては、成功のためには、自社が得意とする分野に特化する必要があるとしています。そして、糖尿病が根絶される可能性については、従業員に以下のように言っているそうです。「もし我々が糖尿病を根絶したら、当社の事業の大部分が失われることになる。そうなったら我々はそのことを誇りに思えるし、転職先はいくらでもある。製薬会社の中でも最高の社会貢献をしたことになるのだから、素晴らしいことじゃないか。」

CSVを追求する企業の鏡のようなマインドセットです。事業を通じて社会問題を解決しようとする企業は、社会問題が解決されれば事業を失う。しかしそれこそが、CSVを追求する企業、CSVを追及する人材の目指すことなのです。そこにこそ、企業の本当の存在意義、人々の本当の生き甲斐があるのではないでしょうか。

(参考)

「2015年版世界のCEOベスト100」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2016年2月号)

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