インド・ウェイを実践する企業: インフォシス

2012-03-15 03:15 pm

前回は、「株主よりも広義のステークホルダーを重視し、株主価値よりも社会価値に重きを置く」というインド企業の特徴を示したインド・ウェイを紹介しました。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=215

今回は、インド・ウェイを実践している企業として、インフォシスを取り上げます。

インフォシスは、インドを代表するIT企業で、ITコンサルティングなどをグローバルに展開し、直近の売上は60億ドル以上、最近5年間で3倍近くの成長を遂げています。

インド・ウェイの基本に、「高遠な使命と目的を掲げる」「人材および組織と人材との一体感を重視する」がありますが、インフォシスは、これらの点で際立っています。

インフォシスは、創業者のナラヤナ・ムルティ氏が、妻から借りた約3万円の資本金をもとに6人の仲間でスタートした企業ですが、会社立ち上げの際に、6人でビジョンについて語り合ったそうです。

そのビジョンについての話し合いでは、「インド最大のソフトウェア会社になる」「国内最大の雇用を創出する企業を目指す」「最大の時価総額を誇る企業を実現させる」などの意見が出たそうですが、ムルティ氏は、「インドで最も尊敬される企業を目指そう」と主張し、議論を繰り返した結果、「最高の技術ソリューションを顧客に提供し、一流のプロフェッショナルを雇用する、インドで最も尊敬される企業を目指す」という理念が出来上がったそうです。

そして、以下の原則を設定し、これに拘り続けています。

◆     良心に背くことは行わない。

◆     疑いがあるときは、開示せよ。

◆     会社の資源を個人的に利用するな。

◆     短期的利益よりも長期的利益を優先せよ。

◆     大きなパイの小さな一片は小さなパイの大きな一片よりも良い。つまり会社を成長させるためには経営者が利益を広く従業員に分配することである。

例えば、インフォシスでは、製品の輸入にあたって税関から賄賂を要求された場合でも、賄賂を支払うことはせず、代わりに高い関税を支払うといった行動を取ることが、社員に浸透しています。

こうした姿勢に拘ることにより、腐敗した役人もインフォシスの社員には賄賂を要求しなくなり、顧客は信頼を高め大規模なプロジェクトを任せるようになり、最も優秀な人材を獲得できるようになっています。

このように「インドで最も尊敬される企業を目指す」という高遠な使命に拘るとともに、インフォシスは、人材を非常に重視しています。

インフォシスは、最高の人材を集めるため、インド全国300の工科大学の教育を支援し、インフォシスの望むスキルを持つ人材育成のためのカリキュラムを開発したり、最高の教育にアクセスしにくい小さな町の学生の教育を支援したりしています。

また、前述のように価値観を非常に重視し、優秀な社員でも価値観に反しているときは、会社を去ってもらうこともあります。一方で、価値観に最も重要な貢献をした社員を、同僚の推薦に基づき選定し、表彰しています。

こうした企業を創り上げたナラヤナ・ムルティ氏は、大富豪となった現在でも、小さなアパートに住み、一日の初めはトイレ掃除を行い、飛行機はエコノミークラスしか乗らないという倹約生活を続けており、現在インドで最も尊敬を集めている人物と言われ、「21世紀のガンジー」とまで呼ばれているそうです。

また、ムルティ氏は、若い頃からインドの貧困問題に心を痛めており、今でも常に貧困問題に注力し、自らが質素倹約に努める一方で、インフォシス自体も利益の1%を貧困支援策に投じています。

ムルティ氏は言っています。「株主価値の最大化は非常に重要ですが、それは、合法的、倫理的、かつ公正に図られなくてはなりません。」「長期にわたって存続することは、企業の成功を測る最高のものさしです。これを達成するには、社会と調和して事業を進めなければなりません。」

こうしたサステナビリティの視点を持ちつつ、高い成長を実現している企業がインドから出てきていることは、世界の変化とこれからの方向性を物語っているように思います。

(参考)

「インフォシス:尊敬される企業を目指して」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2012年3月号)

「インド・ウェイ 飛躍の経営」ジテンドラ・シン、ピーター・カペッリ、ハビール・シン、マイケル・ユシーム著(2011年、英治出版)

www.brics-jp.com/india/infosis.html

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