農機メーカーによる市場創造のCSVとしての農業支援

2016-02-03 08:27 pm

CSVの元祖は、ネスレの原材料農家支援ということは、このブログでも繰り返し述べています。CSVの考えが広まりにともなってか、最近は、食品・飲料企業に加え、流通企業でも、原材料農家を支援し、高品質の原材料を安定調達する動きが広まっているように思います。

このネスレ型のCSVは、バリューチェーン強化のCSVですが、同じく国内農業の問題に市場創造のCSVとして取り組んでいるのが、農機メーカーです。農機メーカー大手のクボタ、ヤンマー、井関農機などが、国内農業の活性化に力を入れています。農機メーカーにとっての成長市場は、アジアを中心とする海外で、国内市場は大きな成長は見込めないのですが、「国内でしっかりと礎を築くことが不可欠」(木股クボタ社長)として、マザー市場として、新しい国内の農機市場を創り出そうとしています。

国内農業は、就農者の高齢化、後継者不足に加え、TPPの影響も想定され、厳しい環境にあります。政府は、「攻めの農業」への転換を目指して、農家への支援策を行う予定ですが、国内農業が競争力を高めるためには、企業の力が不可欠でしょう。農機メーカーも、国内農業を活性化し、農機市場の縮小に歯止めをかけるため、意欲の高い農業従事者向けを中心に、経営効率化や生産性向上のための提案を強化しようとしています。

クボタは、販売会社を核に「クボタファーム」構想を推進し、地域の特産物栽培で活性化に取り組む「中山間地モデル農業の実践」などのテーマを掲げ、自ら農業を実践し、農業発展の可能性を追求しています。その中では、ペースト状に可能した玄米を使ったパンや麺の普及などの新規作物の提案もしています。また、独自のクラウドサービス「クボタスマートアグリシステム(KSAS)」と連動し、センターで収集したデータを活用するICT農機の開発も進めています。自動運転トラクターなどのロボット農機による効率化、人手不足解消などの取り組みも進めています。こうした新技術を活用した農機開発においては、同業間や異業種間のメーカー連携による「オープン・イノベーション」が進められています。

ヤンマーは、有名な工業デザイナーによるスポーツカー風の農機などで、若者への魅力発信に力を入れています。その他、ドローンを使った土壌センシングなどで、農家を支援しています。井関農機は、先端営農研究技術の研究・実証などを行う「夢ある農業総合研究所(夢総研)」を開設する一方、「アグロヒーロー応援プロジェクト」で、農業の技術や経営に明るく農家に適切な提案ができる人材を育成しています。

こうした農機メーカーの市場創造のCSVが、国内農業の活性化とともに、農機メーカーにとっての新しいビジネスの可能性を拓くよう、政府も縦割りを超えて支援すべきです。

(参考)

日刊工業新聞(2016.1.21)

日経産業新聞(2016.1.20,21)

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