ユニ・チャームの「都市森林」の取り組み

2016-02-18 09:10 am

日本で優れたCSVを実践する企業として、まず私が挙げる企業の一つが、ユニ・チャームです。途上国での初潮教育を通じた生理用品の需要創造、国内での高齢者介護支援を通じた排泄ケア製品の需要創造などのCSVを実施しています。www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=747#.VsAJZViCjIU

しかし、生理用品や紙おむつなどの普及に関して気になるのは、廃棄物の問題です。私は、CSR/CSVの両方のコンサルティングをしていますが、CSRの仕事をしていると、物事の副作用が気になります。企業のCSR担当者の存在意義の一つとして、自社事業活動の副作用に関する感度を高め、それに対する社会の意識をウォッチし(そのための社外ネットワークを構築し)、社内に適切にフィードバックするというのがあると思います。なお、事業活動の副作用は、CSVの機会ともなります。

ユニ・チャームでも、自社製品普及の副作用である廃棄物の問題を解決する必要性を認識していました。高齢化社会の進展により大人用の紙おむつ市場は成長しており、2012年には、子供用の紙おむつの市場を上回っています。しかし、年間70億枚近く生産される大人用紙おむつは、ほとんどが廃棄処分されます。都市部では、家庭ゴミの10%近くが紙おむつという自治体もあるとのことです。

ユニ・チャームは、この問題に取り組み、使用済み紙おむつのパルプのリサイクル技術を確立しました。使用済み紙おむつを分解したパルプをオゾン発生装置に投入して殺菌すると、おむつに付着していた菌が完全消滅し、衛生面の心配なく再利用できるということです。この紙おむつのリサイクルシステムが確立すれば、廃棄物焼却のためのエネルギー利用やCO2排出を減らせるだけでなく、紙おむつの原材料のパルプ製造のための森林資源の保全にもつながります。

次の課題は、処理コストと紙おむつの回収システムの確立です。ユニ・チャームでは、回収システムの実現に向け、自治体などと検討を開始しているとのことですが、この処理コスト負担と回収システム確立に向けた取り組みについては、「非競争分野の協働」として、業界を挙げて取り組むことも考えられるかも知れません。www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=2194#.VsAYYliCjIU

また、エフピコが推進した発泡トレーのリサイクルのように、スーパーなどにリサイクルボックスを設置することも考えられますが、紙おむつという製品の特性上、課題もあるかも知れません。www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1084#.VsAbxliCjIU

ユニ・チャームでも、自治体と連携した専用の回収袋の配布や、まずは介護施設から回収を始めるなど、いろいろと検討していると思いますが、「希少鉱物を含んだ廃電子機器が“都市鉱山”と呼ばれるように、紙おむつも“都市森林”になる」という同社の思いが、新しい同社のCSVとして早く実現することを期待します。

(参考)

日刊工業新聞(2016.2.11)「LCA最前線-紙おむつが“都市森林”に」

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