社会貢献活動を通じて競争優位を創り出す: IBMのビジョン推進力強化

2012-03-26 08:14 am

前回に続き、企業の社会貢献活動を通じた競争力強化の事例です。

今回は、IBMのコーポレート・サービス・コー(Corporate Service Corps)とスマーター・シティーズ・チャレンジ(Smarter Cities Challenge)を取り上げます。

Corporate Service Corps(CSC)は、IBM社員による支援チームが、新興国市場での社会課題の解決に取り組む社会貢献活動です。世界中のIBM社員から公募で選ばれたグローバルチームが、1カ月間新興国に派遣され、当該国の政府、行政、教育機関などが直面する課題を解決するための支援をします。

2008年にスタートし、これまでに50カ国以上のIBMから選ばれた100チーム、1000名を超えるIBM社員が、およそ20カ国の新興国に派遣されています。

このプログラムの経営的意味合いは、IBM企業市民活動担当バイス・プレジデントのスタンレー・リトゥ氏の以下の言葉に凝縮されています。

「これは、いわば平和部隊の企業版です。私達企業は、広範なスキルを見につけ、グローバルなスケールで活躍できるリーダーを育てることができます。個々の参加者は、指導力を養う機会と社会の発展に貢献する経験というかけがえのないキャリアを積むことができます。そして、派遣先のコミュニティーは、IBMの卓越した問題解決技術による利益を享受することができます。まさに一石三鳥です。」

IBMの狙いとしては、近年、多くの日本企業が力を入れている“グローバル人材の育成”にあるということですが、”スマーター・プラネット(Smarter Planet)”という事業ビジョンを掲げ、ITによる社会課題解決ビジネスに力を入れているIBMとしては、社会貢献活動で社会課題解決に取り組むことは、事業開発の面でも大きな意味を持つでしょう。

IBMは、このCSCをさらに発展させ、上級幹部による”Corporate Service Corps Executive”、スマーター・プラネットのターゲットである都市の課題解決に特化した、”Smarter Cities Challenges”を開始しています。

Smarter Cities Challenges(SCC)では、今後3年間でIBM社員のチームを新興国および先進国の100都市に派遣することを計画しています。IBM社員のチームは、選定された都市を分析し、都市がより繁栄し、より良い市民サービスを提供して市民の参加を促し、都市運営を効率化するためのアドバイスを市長に提供します。

IBMの事業ビジョンであるスマーター・プラネットの具体策のひとつである”スマーター・シティ”では、都市をよりよく、スマートにしていくために、「行政サービス」、「交通」、「公共安全」、「医療」、「教育」、「エネルギーと通信」、「電力・ガスシステム」、「水資源管理」の7つの都市機能に着目し、スマートな都市づくりを目指していますが、SCCでは、まさにこれらの課題に取り組みます。

SCCは、社会貢献活動として行われますが、IBMの重点事業であるスマーター・シティのノウハウ蓄積と人材育成により事業ビジョン推進力の強化につながります。また、SCCの対象都市が、提案されたアドバイスを受け入れ、その解決のためにIBMのITサービスを活用するとすれば、初期のサービスをただで提供する、近年注目されている「フリー」ビジネスモデルと言えるかも知れません。

IBMの事例に見られるように、CSRや社会貢献活動も、事業戦略や人材育成戦略、ブランディングなどと関連付けて行うことで、戦略性も高まり、活動に広がりが出るでしょう。マネジメントとしても、そういった活動のほうが進めやすいはずです。

(参考)

asmarterplanet.com/jp/blog/2011/09/narijun_001-2.html

www.ibm.com/ibm100/jp/ja/icons/corporateservicecorps/

www-06.ibm.com/jp/press/2008/04/0301.html

www-06.ibm.com/jp/press/2011/03/1003.html

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