ユニリーバの“本気”を示すサステナブル・リビング・プラン・プログレスレポート

2012-05-01 08:53 am

ユニリーバのサステナブルな社会構築に向けた2020年ビジョン「サステナブル・リビング・プラン」については、以前このブログで紹介しました。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=175

前回、「ユニリーバは、こうしたビジョンを打ち出したからには、必ず実現しようとする」と述べましたが、最近、公表されたサステナブル・リビング・プランの進捗を示す”Progress Report 2011”は、ユニリーバが如何に真摯にこのビジョンを実現しようとしているかを示しています。

サステナブル・リビング・プランは、「すこやかな暮らし」「環境」「経済発展」の3つの重点課題に対する目標、各重点課題に関連する「健康・衛生」「食」「温室効果ガス」「水資源」「廃棄物」「持続可能な農業」「生活の向上」の7項目についての目標、さらに「社員」の項目を加え、より具体的に落とし込んだ58の目標の3層構造となっています。

今般のProgress Reportは、58の具体目標に対する現在までの進捗状況を中心に報告しており、それぞれの目標について、Achieved(すでに達成)、On-Plan(計画どおり進捗), Off-Plan(計画達成は難しい状況), Missed(実現不可)の4段階で評価しています。

例えば、「健康・衛生」に関する「ライフボーイブランドの石鹸で、2015年までにアジア、アフリカ、ラテンアメリカ全域で、10億人に正しい手洗いによる衛生的習慣を見つけてもらう」という目標に対しては、「2010年以降に4,800万人、2011年だけで3,450万人に衛生教育等を実施し、当初の想定より少し遅れているが、まだ目標達成は可能」として、”On-Plan”と評価しています。

「温室効果ガス」に関する「消費者の洗顔・洗髪などの際に排出される温室効果ガスを削減するための製品とツールを、2015年までに2億人、2020年までに4億人に届ける」という目標に対しては、「温水による洗髪の回数を減らすためのドライ・シャンプーの開発などで消費者の習慣を変えようとしているが、実現は容易でない」として、”Off-Plan”と評価しています。

また、「食」に関する「心臓の健康状態の改善のために、2020年までに1億人以上に、マーガリン・ブランドのフローラ/ビーセルの『ハート・エイジ』テストを受けてもらう」とう目標に対しては、「『ハート・エイジ』テストは心臓の健康状態改善のために有効であることが確認され、2009年以降に590万人がテストを受けているが、マーガリン・ブランドを通じた形では、十分な数の人々にテストを受けてもらうことは難しい」として、”Missed”と評価しています。

ユニリーバは、2020年の長期目標およびそれ以前の中期目標を非常に具体的に示した上で、PDCAマネジメントを通じて着実に実践しようとしています。また、目標や進捗状況をレポートにより外部にオープンにし、ある意味、退路を断っています。

それだけサステナビリティに本気に取り組む理由は、「サステナビリティ・リビング・プラン」に明記されています。

①顧客が独自の環境目標を掲げる中、ユニリーバは、持続可能な農業、製品のライフサイクル分析などの知見を有しています。顧客と知見を共有し、協働することで、より広く深い関係を築くことができます。

②サステナビリティに配慮した製品やパッケージの開発は、将来性のある分野です。

③ユニリーバの売上の半分以上は途上国のビジネスが占めており、今後も成長が見込まれます。途上国が直面している森林伐採、水不足、非衛生などの問題に対応した製品を提供することは、将来の成長を加速することにもつながります。

④サステナビリティを追求すると、エネルギー削減、パッケージ削減、廃棄物の削減を進めることになり、コスト削減と消費者の皆さまの節約につながります。

ここに示されているのは、サステナビリティの追求が自社事業の将来の成長に不可欠であるとの確信です。

経済成長が環境負荷や社会問題を引き起こす状況は、持続可能ではなく、経済成長を環境負荷や社会問題と“De-couple(切り離す)”ことができるかどうか。自社の長期的成長は、そうしたビジネスモデルを構築できるかどうかにかかっている、という確信です。

サステナビリティというメガトレンドを先取りするユニリーバの動きは、今後も注目する必要がありそうです。

(参考)

www.unilever.com/images/uslp-Unilever_Sustainable_Living_Plan_Progress_Report_2011_tcm13-284779.pdf

www.unilever.co.jp/Images/USLP_2010_J_tcm56-252032.pdf

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

コメント1件

コメントを書く







コメント内容


Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.