持続可能な経営のため、経営者が知っておくべき7つの変化

2018-02-12 11:22 am

 気候変動、破壊的テクノロジー、政治の不安定化、社会課題の顕在化など、企業経営に大きく影響を与える様々な変化が起こっており、如何に持続可能な経営を行っていくかは、経営の大きなチャレンジになっています。最近のForum for the Futureのレポートでは、様々な変化のうち、持続可能な企業を創るために、経営者が知っておくべき7つの変化として、以下を挙げています。

1. Eモビリティと自動運転
大気汚染や気候変動への懸念が高まる中、電気および自動運転の輸送手段が実現可能となっていることは、グローバル経済に大きな影響を与えます。いくつかの国は、今後25年以内にガソリン車を禁止することにしていますし、多くの消費者が車を所有するよりもシェアすることを選択するようになっています。モビリティの変化により、都市のインフラを新たにデザインすることが必要となります。OECDは、自動運転の車両が最終的に都市における車両の90%を占めるようになると予測しています。企業にとっても、自動車業界以外でも、サプライチェーンの車両、充電インフラ、グリッドマネジメントなどへの新たな投資が必要となるなど影響があります。
 一方で、長期的には、シェア、低炭素輸送手段が普及することで、CO2排出削減、都市の空気の浄化等の効果があります。ここには、ビジネス価値と社会価値を生み出す大きな可能性があり、大きなビジョンのもと、ビジネスモデルを変革する機会があります。
 
2. 再生可能な農業(Regenerative Agriculture)
“再生可能な(regenerative)”農業は、環境や社会に対して、獲得するよりも多くの価値を生み出す農業のアプローチです。気候変動、生物多様性の喪失、土壌の劣化などが懸念される中、土壌にカーボンを定着させ、栄養価の高い作物を生産する農法を進める動きがあります。具体的には、2-3作物を一緒に育てる間作、土壌の炭素隔離、化学合成農薬ではなく捕食昆虫を利用するなどがあります。最近の再生可能な農業は、単に昔の農法に戻るのではなく、AI、IoT、リモートセンシング、ロボティクスなどの最新のテクノロジーを用いて進化しています。英国では、60%の農地で、センサー、カメラ、ドローン、バーチャルフィールドマップ、GPSトラクターなどの精密農業が行われているとのことです。
テクノロジーを活用した農業には大きなポテンシャルがありますが、同時に消費者の食習慣の変化にも注目していく必要があります。食肉を控え、食物由来のたんぱく質を好む消費者なども増えています。生産と消費の両方の変化により、環境や社会とビジネスの両方に価値を生み出す、食のトータルシステムへの動きが始まっています。

3. ブロックチェーン
 ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨の基盤技術として話題になっていますが、サプライチェーンの透明性とトラッキングなど、企業のサステナビリティを促進するという意味でも、大きなポテンシャルを持っています。ブロックチェーンを用いたサプライチェーンの進化により、原材料廃棄ゼロ、コラボレーションとナレッジシェア、エネルギーの分散化などが可能になります。一方で、ブロックチェーンで取引の高い信頼性を確保するには、莫大なエネルギーが必要という課題もあります。そうした課題への対応も含め、ブロックチェーンは大いに注目すべきテクノロジーです。

4. プラスチック汚染への対応
 プラスチック廃棄物への関心は、急速に高まっています。欧州が2030年までにすべてのプラスチックをリサイクル可能なものにするという戦略を発表するなど政府側の動きも進んでいますし、英食品大手アイスランドが、2023年までにプラスチック・パッケージを廃止する、メディア大手のスカイが2020年までにプラスチックの使い捨てを止めるなど企業側の動きも始まっています。企業がこのように野心的な目標を掲げることは、これまで見られなかったことです。

5. 流通と消費主義の変化
 オンラインショッピングの普及は、消費の形態を大きく変化させています。この変化が都市、雇用、シェア経済等に与える影響を企業や政府は注視していく必要があります。消費者の購買行動は変化を続け、街中での買い物は減る一方、流通の増加が渋滞、CO2排出などを促進する恐れがあります。また、購買が便利になることで、消費が活発化し、資源の持続可能性を脅かす可能性もあります。
 しかし、イケアが、資源への懸念と消費者の行動変化を踏まえ、製品を作って売るのではなくリースすることの可能性を考えているように、流通や消費行動の変化は、新しい機会ももたらします。スタートアップ企業がスマートフォンを活用して食品廃棄削減に取り組むといった動きもあります。流通システム全体が変化していく中、それにどう関わり、どうサステナブルなものにしていくか、考えてみる価値はあります。

6. 仕事と生活の変化
 化石燃料を基盤としてきた産業が低炭素なものに変化し、様々な形の自動化が進む中、人々の仕事も変化し再訓練が必要となります。こうした変化により収入や生活の糧が失われると、低炭素への移行に対する反発が起こる可能性があります。また、自動化が、新興国における従来の製造業や農業を通じた経済発展を変化させると、サプライチェーンのレジリエンスや気候変動への適応にも影響します。こうした変化の影響は十分に予測されておらず、すべてのステークホルダーが、新しい発展と繁栄の道筋について、協働することが必要です。

7. ソーシャル・アクション
 ソーシャルメディア、コラボレーション、クラウドファンディングなどがビジネスに影響を及ぼすようになっています。例えば、英国で今年法制化されたマイクロビーズの禁止は、グリーンアクティビストのキャンペーンがソーシャルメディアで支援を受けた結果です。このようなソーシャルメディアの影響は、企業がサステナビリティの取り組みを進めるためにも活用できますが、市民組織が、ビジネスのあり方を変化させるためにも活用できます。力の源泉が中央から移行し、特定の課題に対して人々を動かすことがやりやすくなっています。また、組織の形態自体も変化し、より協働型、より民主的になっています。ビジネスはこうした変化に敏感になるべきです。

 人口動態の変化、先進国経済の成熟と新興国の台頭、気候変動をはじめとする環境問題の影響への懸念、そうした中で資本主義のあり方が問われる中、テクノロジー進化の新たな波が、ビジネスや人々の生活を大きく変化させようとしています。企業が持続可能な経営を行っていくためには、上記の7つの変化をはじめ、政治・経済・社会・環境・技術の変化とその影響に益々感度高く対応していく必要があります。目先の財務指標よりも、長期の非財務指標が重視されるようになっている理由もここにあります。統合思考、統合経営は、そうした文脈て推進していくべきでしょう。

(参考)

www.greenbiz.com/article/7-key-trends-all-sustainability-execs-should-watch

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

コメントを書く







コメント内容


Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.