「お金2.0」:CSVとも関係する価値主義の世界とは?

2018-02-14 10:03 pm

最近、仮想通貨がお金や資本主義のあり方を変えていく可能性、ブロックチェーン技術が分散型社会を構築していく可能性などに興味があることもあり、「『資本主義』を革命的に書き換える『お金2.0』とは何か。」という帯のコピーにも惹かれ、「お金2.0」を読んでみました。仮想通貨の話が中心かと思っていましたが、より本質的な変化を洞察した本で、サステナビリティやCSVの観点からも、参考となる示唆が多くありました。以下、同書で面白いと思ったところを要約します。

筆者は、お金や経済の世界において、これから10年という単位で、最もインパクトのある変化は、「分散化」であるとしています。人やモノが常時つながっている世界においては、情報の非対称性を前提とした代理人などのハブが不要となり、中央集権による秩序が変化し、分散型のネットワーク社会となっていきます。UBERやAirbnbに代表されるシェアリングエコノミーも、社会が繋がって分散している状態でこそ、機能します。ビットコインに代表される、仮想通貨やブロックチェーン上で機能する経済圏を指すトークンエコノミーは、国家が担ってきた通貨発行の分散化と言えます。

この通貨発行の分散化により、価値をやり取りする手段が、国家の発行する通貨以外でも可能になると、価値を媒介する手段としての「お金」の独占が崩れます。そうすると、これまでの資本主義の課題であった「お金以外の価値」を評価し交換することが可能になります。筆者は、このように価値を中心とした世界に変わっていく流れを、資本主義(capitalism)ではなく「価値主義(valualism)」と呼んでいます。価値主義では、資本(=お金)ではなく、価値を最大化することが重要になります。

筆者は、価値主義の対象である「価値」を、①有用性としての価値、②内面的な価値、③社会的な価値の3つに分類しています。資本主義で重視される、「役に立つか?」という観点から考える「有用性としての価値」、愛情・共感・興奮・好意・信頼など、実生活に役に立つというよりは、個人の内面にポジティブな影響を及ぼす「内面的な価値」、そして、個人ではなく社会全体の持続性を高める、「社会的な価値」です。こうした内面的な価値や社会的価値が評価・取引できる経済圏が構築されると、サステナビリティやCSVも、本格的に促進されると思います。

筆者は、それ以外にも、「社会的に価値のある取り組みは利益を出しやすくなっている一方で、利潤のみを徹底的に追求する事業は短期的な利益を求めすぎて消費者に避けられてしまうか、過剰競争に巻き込まれて長期的には収益を出しにくくなっている。」「数十年後には、『営利』と『非営利』という区別はなくなっており、活動はすべて『価値』という視点から捉えられるようになる。」「経済的な活動には『公益性』が求められるようになり、政治的な活動にはビジネスとしての『持続可能性』が求められるようになると、経済と政治の境界線がどんどん曖昧になる。」など、共感できる示唆を提供しています。この本が売れているのも、人々の意識の変化を反映しているのかも知れません。

(参考)
「お金2.0」佐藤航陽著(幻冬舎、2017年)

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