課題と課題を結び付ける:炭素繊維リサイクルと気候変動への適応

2018-03-12 09:07 am

炭素繊維は、鉄の10倍の強度を持ちながら、鉄の4分の1の軽さで、航空機や自動車の軽量化により温室効果ガス排出削減に貢献する優れた素材です。風力発電のタービンなどにも使用され、年間10%ずつ成長しています。また、東レが1950年第から、赤字続きにも関わらず研究開発を継続して実現した、日本企業の継続力を生かした日本型CSVの代表例です。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=2015#.WqMuf0xuJdi

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=2053#.WqMveUxuJdh

一方で、炭素繊維の課題としては、製造コストが高いほか、リサイクルが難しいということがあります。そのため、現在は30%がリサイクルされずに廃棄されています。優れた機能を持つ素材を大量に廃棄し続けるのは、もったいない話です。何かに使えないものでしょうか。この課題を頭に入れておきましょう。

グローバルの社会課題の中でも気候変動は、トップクラスに関心の高いものです。最近は、温室効果ガス削減だけではなく、社会が気候変動の影響に適応していくことも、大きな課題となっています。

気候変動の影響の代表的なものとしては、「洪水」があります。近年、世界的に大規模な洪水が頻繁に発生しており、住民の生活や農作物に大きな影響を及ぼしています。この洪水の要因の1つとして、都市部の多くの道路や駐車場で、不透水性のコンクリートが使用されていることがあります。降った雨が道路の下の地面に吸収されないため、雨水が河川などに集中して流れ出てしまいます。コンクリートを透水性のものとし、雨水が道路下の地面に浸透するようにできれば、気候変動による洪水の被害を軽減できます。しかし、透水性コンクリートには、強度が低いという課題があります。

ワシントン州立大学の研究チームは、気候変動による洪水の影響を軽減するために、高強度の透水性コンクリートを創るという課題と、炭素繊維が大量に廃棄されているという課題を結び付けました。廃棄された炭素繊維をリサイクルして透水性コンクリートに加え、強度を高めることに成功しました。ボーイングの協力を得て、ボーイングの製造工場から出た炭素繊維廃棄物を透水性コンクリートに均一に混ぜた結果、炭素繊維が入った透水性コンクリートは、排水性を維持しつつ、高い強度、耐久性を示したのです。

これは、課題と課題を結び付けた優れたCSVの事例です。優れた機能を持つ炭素繊維が廃棄されているという課題、これは何かに使えるはずだという問題意識、それが気候変動への適応、洪水の影響の軽減、そのための高強度の透水性コンクリートの開発という課題と結びつきました。世の中の様々な課題に関心を持ち、情報としてインプットしておき、それを課題を解決しようという意識があれば、“ユーレカ”、既存の課題と課題の新しい結びつき、CSVイノベーションは生まれるものです。

(参考)

ideasforgood.jp/2018/03/09/recycled-carbon-fiber/

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

コメントを書く







コメント内容


Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.