世の中の潮流を見据えて長期的視点で取り組む:ユミコア
今週の日経ビジネスに、ベルギーの非鉄大手ユミコアが、リチウムイオン電池の2025年問題に先手を打っているという記事がありました。リチウムイオン電池の「25年問題」とは、EVが急速に普及する中で、リチウム電池の需要が25年には16年の22倍(780ギガワット時)に達するが、リサイクルシステムが確立されておらず、廃棄負担がEV普及のネックになる恐れがあるというものです。
そうした中、2010年頃からPC用リチウムイオン電池のリサイクル事業に注力しているユミコアは、EV電池のリサイクルにも乗り出しています。そのため、世界のメーカーからリサイクルの相談が舞い込んでいるそうです。現在は、回収量が少ないため、車載電池リサイクル事業は赤字とのことですが、コバルトやリチウムなどの希少金属の需給が逼迫して価格が上昇しているため、ユミコアは、近い将来利益が出ると見ています。
ユミコアは、こうした状況において先手を打ち、ベルギーに加え、20年には米国と中国に車載電離のリサイクル工場を立ち上げ、年30万台分の電池を処理する能力を整える予定です。また、リチウムイオン電池が危険物とみなされて回収審査に時間がかかり、回収を担う中小企業が取り組みに消極的になるといったことがないよう、規制担当者を大幅に増やし、ベルギー、ドイツ、中国、米国に配置しています。さらに、電池回収のオープンビジネスを展開し、2020年で車載電池の回収・リサイクルで世界シェア30%を目指しています。
コバルトなどの原料不足にも対応するユミコアの車載電池リサイクル事業は、優れた製品・サービスのCSVです。さらに、ルール形成や事業インフラ、関連ビジネスの整備など、ビジネス環境のCSVも戦略的に進めています。
ユミコアについては、以前にもブログで書いていますが、長期的視野を持ち、CSV企業への変身に成功した企業です。
www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1242#.Ww6D_kxuJdg
こうした社会の潮流を見据えた長期的取り組みは、日本企業にこそ実践してほしいところです。CSVがそのキーワードとなることを期待しているんですけどね。
(参考)
「ユミコア、EV2025年問題に先手」日経ビジネス2018.05.28
※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。
bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html