トヨタとセブン-イレブンのコラボレーションによるCSV

2018-06-11 07:58 am

共有課題を持つ企業同士あるいは、政府、市民セクターも含めたコラボレーションは、CSVのアプローチの中心です。イノベーションを生み出すにも、バリューチェーンを構築するにも、市場を創造するにも、自社だけで実現できることは、余りありません。というよりは、イノベーションは新しい市場を創造するものであり、その実現には新しいバリューチェーン構築も不可欠なので、イノベーションと言えるようなインパクトのあるCSVの場合は、そもそもコラボレーションが前提となります。

グローバル企業は、オープンイノベーションにしろ、NGOなどと協働したバリューチェーン構築や啓発活動にしろ、特定の課題解決に向けたイニチアチブ推進にしろ、コラボレーションによるCSVの経験を積んできています。一方で、日本企業は、自前主義が強いのか、他者との協働に臆病なのか、コラボレーションによるCSVは、限られた企業の小粒なものに留まっています。しかし、最近、日本企業のコラボレーションによるCSVにも、新しい動きが出てきています。

その中でも注目されるのは、トヨタとセブン-イレブンのコラボレーションです。トヨタは、環境規制や技術の進化に対応して、モビリティが大きく変わる中、新しい市場を創造する必要性に迫られています。そうした状況において、いろいろな試みを進めていますが、最近、セブン-イレブンとの2つの取り組みが発表されました。

一つは、セブン-イレブンの店舗や物流に、トヨタの技術やシステムを導入して、省エネ・CO2削減を進めるプロジェクトです。店舗では、定置式の燃料電池発電機とリユース蓄電池を導入し、それらを店舗エネルギーマネジメントシステム(BEMS)で統合的に管理して、再生可能エネルギーや水素由来の電力の比率を高めます。物流では、トヨタが新たに開発した燃料電池小型トラックを導入し、CO2排出ゼロを目指します。最近、EVに押され気味の印象があるFCVとそのインフラを普及させつつ、CO2排出を減らそうとするものです。

もう一つは、自動運転車両を使った新サービスの共同開発です。トヨタは、自動運転の商用EV車両「イー・パレット」を開発していますが、これを使った新しいサービスをセブン-イレブンと開発しようとするものです。セブン-イレブンの移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」をイー・パレットで拡大していくことなどが想定されます。移動手段のない地方の高齢者などにとっては、ありがたいサービスとなる可能性があります。

トヨタは、日本企業の中では、グローバル市場でもまれて、CSVの重要性を理解しています。一方、セブン-イレブンは、ホールディングスで社会価値創造部会を立ち上げて、CSVを全社的に進めています。また、トヨタは、環境チャレンジ2050を掲げ、セブン&アイHDは、「商品、原材料、エネルギーのムダのない利用」「高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供」などの5つの重要課題を掲げています。それが共有目的となるトヨタとセブン-イレブンのコラボレーションが、これからの日本企業のCSVの一つのモデルとなるよう期待したいですね。

(参考)

newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/22815731.html

「自動運転で移動コンビニ」日本経済新聞2018.0609朝刊

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

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