社会インパクトの波及効果

2018-07-04 10:02 pm

前職の戦略コンサル時代に、旭化成の代表的製品について、経済面・環境面・社会面のトリプルボトムライン価値を定量化するプロジェクトを実施しました。簡単な概要がクレアンHPのコラムに掲載されていますが、このプロジェクトの成果を、クレアンが雑誌記事等で取り上げたことがきっかけで、私がクレアンに参画することとなったプロジェクトです。

www.cre-en.jp/library/knowledge/091001/

このプロジェクトでは、「経済価値」を製品の経済波及効果とし、「環境価値」をCO2排出削減貢献量の金銭価値への換算により算出しています。この2つは、各製品に共通の手法で算出しているのですが、「社会価値」は、それぞれの製品の提供する価値にもとづき、健康、安全などへの貢献を定量化しています。人工腎臓を例にとれば、旭化成の人工腎臓を利用している10万人を想定して、人工腎臓によって患者が延命し、社会復帰した場合の利益として、患者が元気に働き続けることによる、患者と医療従事者の国内総生産(GDP)押し上げ効果、また、患者および医療従事者が消費を行うことによる社会へのプラス経済効果を<便益>として算出しています。一方、マイナス面として、患者の治療コストと家族の負担を<費用>として換算し、<便益>から<費用>を差し引いて、これを社会価値と見なしています。ヘーベルハウスでは、家屋が地震や火災に極めて強い、という側面を社会価値として、木造住宅に対して軽減された火災保険料率で社会価値を測っています。

トリプルボトムライン評価のうち、経済価値である経済波及効果については、データもあり、算出ソフトもあります。本来は、環境・社会価値、社会インパクトにも波及効果があり、本質的には、一つの社会課題解決への貢献が、他の社会課題に対してポジティブ・ネガティブのインパクトを与えることを考慮し、波及効果も含めて社会インパクトを評価すべきです。社会インパクトの波及効果についての研究もあるようですが、汎用的な評価方法を確立するには、かなりのブレークスルーが必要でしょう。

以前、ハーバード・ビジネス・レビューの「CSV経営」特集で、慶應大学の岡田教授が、CSVの考え方には、企業の目的を経済的価値に社会的価値を含む共有価値とすべきであるという戦略理論を再定義する議論が含まれているとしています。そして、投資家や企業が経済価値の最大化に加えて、企業が社会的価値を生み出すことも成果として追求する新たな企業観が広がる可能性を示唆しています。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1669#.Wzde8ExuJdg

経済価値と社会価値の両方を含む共有価値が、企業評価の軸となり、新しい資本主義が形作られる。そこでの社会価値は、波及効果を含む社会インパクトで評価され、その評価は、ブロックチェーン技術などで簡易に算出でき、それが仮想通貨に反映され、取引される。そうした社会の構築を目指していきたいですね。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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