注目すべき“ESGアクティビスト”の動き

2018-07-30 09:08 am

先日の日経ビジネスの記事で、スターバックスやマクドナルドがプラスチック製ストローを廃止した背景には、“ESGアクティビスト”の圧力があるとの記事がありました。本年3月のスターバックスの株主総会で、米ESG投資促進NGOのAs You Sowがプラスチック製ストロー禁止の株主提案をし、米機関投資家など多くの株主が支持しました。提案自体は否決されたものの、30%弱の高い支持を得たことが、スターバックスを動かしたということです。As You Sowは、7月9日に、「我々の提案を投資家が強くサポートしてくれたおかげで、スターバックスはプラスチック製ストローの廃止を決断した」と勝利宣言しています。マクドナルドでも、別のESGアクティビストから同様の提案があり、こちらも一定の株主の支持を受けたそうです。

上記のAs You Sowは、プラスチック容器を使うネスレやP&Gなどに対する圧力も強めており、6月には、これら企業にプラスチック問題への対策を求める投資家ネットワーク「プラスチック・ソリューションズ・インベスター・アライアンス」を発足させています。アビバやロベコなど25の機関投資家が参加し、運用資産総額は1兆ドルに達するそうです。

少し前にも、日経新聞で、“ESGアクティビスト”に関する記事がありました。今年1月、アップルの取締役会に、「子どもが最適な方法で貴社の製品を使えるようになるため、親たちに多くの選択肢とツールを提供すべきです」という手紙が届きました。「子どもがスマートフォンの使用にのめり込むあまり、勉強に集中できない」といった問題に対して、製造者としてアクセス制限などの対策を講じる必要があるという主張でした。この手紙を送付したのが、アクティビストとして有名なジャナ・パートナーズと、有力機関投資家のカリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)の連名だったことで、注目されました。

As You Sowがサステナブルな社会を創ることを目的として投資家を動かそうとしているNGOであるのに対し、ジャナは、株価を上げるために企業に変革を求める典型的なアクティビストで、ホールフーズの売却などで大きな利益を上げています。ホールフーズのジョン・マッキーCEOからは、「欲深い嫌な奴」と批判されています。ジャナのほうは、純粋に、若者の携帯依存の社会問題化に対応しないと、アップルの企業価値を棄損すると懸念しているということでしょう。

社会問題を解決することを重視するAs You Sowと、純粋に企業価値向上を追求するジャナ・パートナーズは、考え方は全く異なりますが、両者とも、機関投資家と連携して、企業にESGの取り組みを促しています。機関投資家がこうした動きに乗っているのは、企業が社会問題に取り組むことが、投資の安定性をもたらす持続可能な社会を創ると同時に、投資先の長期的な企業価値の創造につながると考えているからです。機関投資家自体も、「長期の企業価値向上に向けたパートナーになりうるアクティビストを探してきた」(カルスターズ)というように、ESGアクティビストとの連携を模索するようになっています。

ジャナ・パートナーズ以外にも、トライアン・パートナーズ、ブルー・ハーバー、レッド・マウンテン・キャピタル、バリューアクトなど、著名なアクティビストが、次々にESG重視の姿勢を強めています。こうした従来型アクティビストの“ESGアクティビスト”化や、As You Sowなどのもともとの“ESGアクティビスト”が機関投資家と連携するなどして影響力を強めていることは、新しいトレンドとして重要な意味を持ちます。両方の“ESGアクティビスト”の動きには、注目すべきです。

(参考)
日経ビジネス2018.07.23号
日本経済新聞2018.02.06

www.esg.quick.co.jp/research/907

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