SBT設定の意義

2018-08-06 09:06 am

パリ協定以降、温室効果ガスの長期的な削減目標を設定する企業が増えています。その中で、注目されているのが、SBT(Science Based Targets)です。SBTは、科学的知見に基づくパリ協定の2℃目標に整合する温室効果ガス削減目標で、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI、WWFが設立したSBTイニシアチブが提唱・推進しています。これらの信頼性の高い団体が設立したSBTイニシアチブが審査・認定・公表することで、目標設定にも信頼が得られるため、世界的に広まっています。

2018年8月現在で、日本企業では、ブラザー、大日本印刷、第一三共、大和ハウス、電通、富士フィルム、富士通、川崎汽船、キリン、コマツ、コニカミノルタ、LIXIL、丸井、ナブテスコ、日本郵船、パナソニック、リコー、積水化学、積水ハウス、ソニー、サントリー(ホールディングスと食品)、戸田、ユニ・チャームと、幅広い業種の多くの企業が、SBTを設定しています。この24社という数は、米国の30社に次ぐ数ですので、他国に比べても日本で特に関心が高く、ブームになっていると言っても良いのではないかと思います。24社以外にもSBTにコミットしている企業が39社あり、これからもSBTを設定する企業は増えそうです。

何故、日本でこれだけSBTが流行っているのでしょうか。日本企業では、伝統的に環境部門がリソースを持ち、積極的に取り組みを進めているということもあるでしょう。経営層からの指示で、パリ協定対応で何をするかとした場合、SBT設定が分かりやすいということもあるでしょう。ISO14001などもそうですが、日本企業にとっては、認定・認証を受けるというスタイルは、受け入れやすいようです。

とは言え、まだSBT設定、または、温室効果ガス削減の長期目標へのコミットには慎重な企業も沢山あります。社会的な意義は分かるが、経営的にとってのメリットが今ひとつ分からないという企業、経営者も多いでしょう。SBT設定の経営的メリットは、どう考えれば良いでしょうか。

SBTイニシアチブは、SBT設定のメリットとして、「イノベーションを後押しする」、「(化石燃料の価格上昇が見込まれる中)コスト削減、競争力につながる」、「企業の信頼と評判を築く」、「政策の変更に備える(または政策に影響を与える)」の4つを挙げています。また、Greenbizの記事では、185の企業エグゼクティブへのアンケート結果に基づき、SBTの意義として、「ブランドの評判」、「投資家の信頼」、「規制に対するレジリエンス」、「イノベーション」、「コスト削減」、「競争優位」の6つを挙げています。Greenbizのアンケートによれば、企業は実際にこうしたメリットを感じているとのことです。

SDGsなどに掲げられる様々な社会・環境課題の中でも、気候変動は、別格の重要性を持っています。低炭素・脱炭素に向けて、政策が変わり、投資家の行動が変わり、サプライチェーンの要請が変わり、消費者の意識が変わり、人財の意識が変わっていくことは、確実です。VUCAな時代に、低炭素・脱炭素シフトに賭けることは、手堅い打ち手だと思います。日本企業がSBT設定に熱心なのは好ましいことですが、しっかり経営に統合した取り組みを進め、SBT設定の果実も享受して欲しいと思います。

(参考)

www.greenbiz.com/article/target-6-business-benefits-setting-science-based-targets

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