デジタルテクノロジーとサステナビリティの融合

2018-08-09 07:41 pm

2000年代くらいまでの世界の変化に大きな影響を与えている要因は、「IT革命」「グローバル化」「金融革命」であると言われていました。これからの世界においても、「デジタルテクノロジー」「グローバル経済のあり方」は、大きな影響力を持つでしょう。金融についても、フィンテック、仮想通貨、ブロックチェーンなど新しい動きが注目されます。これからの社会に大きな影響を与えるものとして、これに「サステナビリティ」を加えることには、多くの識者が同意するはずです。気候変動への対応を中心として、「サステナビリティ」は、これからの社会を規定する大きな要因となります。

これらの要因は、独立したものではなく、互いに関連しています。個人的には、特に、「デジタルテクノロジー」×「サステナビリティ」に注目しています。サステナブルな社会を実現するには、デジタルテクノロジーは、不可欠です。この「デジタルテクノロジー」×「サステナビリティ」に関して、興味深い記事があったので、概要を示します。

フィンランドのエネボは、IoTを活用したスマートなゴミ処理装置を開発しています。センサーと分析ソフトウェアにより、ゴミ箱が一杯になったら回収するなど、効率的なゴミ処理でコストを削減しています。こうした、デジタルテクノロジーとサステナビリティ融合のケースが増えています。

従来は、デジタルテクノロジーとサステナビリティは、関連付けて考えられていませんでした。IoT、AI、ロボティクスなどは、生産や労働を効率化するもので、一方、サステナビリティは、政府が推進すべきものと考えられていました。しかし、最近では、ビジネスが生産と消費をリニアに増大させ続けることだけで、増大する製品とサービスに関する需要に応えることは、不可能だと認識されつつあります。また、ビジネスモデルのイノベーションなしには、顕在化・深刻化する環境・社会課題に対応することはできないと考えられるようになっています。

デジタルテクノロジーとサステナビリティが相乗効果を生み出すケースが認識されつつありますが、もっと踏み込んで考えるべきです。デジタルテクノロジーなしでは、環境負荷のフットプリントの緩和、廃棄物管理の問題を解決することは困難です。また、サステナビリティの十分な理解がないと、コンピューターは多量のエネルギーを消費し続けます。デジタルテクノロジーとサステナビリティを両立させることが、ビジネスの戦略思考の先端であるべきです。それがビジネスを差別化し、顧客やコミュニティの長期的な可能性を高めます。

デジタルテクノロジーとサステナビリティが結合することで、多くのベネフィットが得られます。PwCは、今年1月のレポートで、AI技術がもたらす環境面での価値を80個特定しています。エネルギー需要予測の最適化、輸送の充電インフラのデマンド・レスポンス、スマートな都市計画の分析と自動化、穀物マネジメントのための地域的天候予測、サプライチェーンのモニタリングと透明性など。サプライチェーンのデジタル化によるサステナビリティの推進は、大きな機会をもたらします。

過去には、生産し販売した後、製品がどうなっているかをほとんど知らないというのは、それほど珍しいことではありませんでした。そのため、製品が管理されず、大量のごみが積み上げられてしまいました。電子タグのようなデジタルテクノロジーを使えば、製品のライフサイクルを把握し、サーキュラーエコノミーのベネフィットが得ることができます。例えば、フィリップスは、廃棄物削減のため、製品ライフサイクルの情報を、デジタルテクノロジーを用いて獲得しています。それにより、X線装置などの製品の二次利用において、部品の再利用、製品寿命の延長の機会があることが分かりました。これに対応することで、顧客は装置の寿命を延長でき、フィリップスは、顧客との長期的な関係を築くことができます。

その他、EVチャージは、ビッグデータによるデマンドレスポンスソフトウェアにより、より手に入れやすくなっています。IoT、AI、ドローンで、短距離輸送がクリーンでスマートになっています。また、ノルウェーの水力発電のAgder Energi は、AIとクラウドで、EVの増加なども踏まえた、エネルギー需要の変化を予測し、対応しています。

消費者にとってもメリットがあります。M-Pesaは、アフリカの人々に金融サービスへのアクセスを提供しています。プラスチックバンクは、ハイチで、プラスチック廃棄物の収集への支払いをブロックチェーンで行い、貧困層の人々ための生活を創造しています。こうした顧客への価値は、ミレニアル世代の企業活動のサステナビリティへの懸念に対応しています。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=3358#.W2wTJfZuJdg

このようにデジタルテクノロジーは、サステナビリティを推進に大きく貢献しますが、リスクもあります。ブロックチェーンのマイニングは、大量のエネルギーを消費します。3Dプリンターは、廃棄物を増やす側面もあります。これに対応するためには、サステナビリティ・マネージャーとITマネージャーが連携する必要があります。また、社会インパクトの考慮も必要です。大規模な自動化は、運輸、製造、農業、サービス分野等で、雇用を減らす恐れがあります。AIなどの利用における倫理的配慮も必要です。

サステナビリティへのデジタルテクノロジーの活用にあたっては、よりバランスの取れたサステナビリティ戦略、SDGsに貢献する経済・社会インパクトを理解することが求められます。そのための手段としては、取締役会がAIや他のデジタルテクノロジーを安全、倫理、価値、ガバナンスを含めて理解する役員レベルのデジタルとサステナビリティのアドバイザリーユニットを設立すること、デジタルテクノロジーがサステナビリティのアウトカムについて、最適な効果を持つテクノロジー戦略を確保することなどがあります。

著者らは、上記の認識を踏まえ、デジタル時代のサステナビリティ戦略の6つの原則を作成しています。
・企業の活動が、社会価値を創造または棄損しているかを理解する
・製品とサービスを再考し、対立する目的を理解する
・拡大されたバリューチェーンのステークホルダーと戦略的にエンゲージする
・経済的な富をシェアし、サーキュラーエコノミーの原則が適用される市場を発展させる
・オペレーションの課題解決に必要なマネジメント情報を創造する
・サステナビリティ・マネージャーの暗黙知を従業員に身に着けさせる

(参考)

www.strategy-business.com/article/Digital-Technology-and-Sustainability-Positive-Mutual-Reinforcement?gko=37b5b

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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