カリフォルニアロールの原則

2018-09-18 08:36 am

米国の寿司屋には、必ず「カリフォルニアロール」があります。私も、昔から変わった寿司だなと思っていましたが、最近読んだ「TRUST」の中に、カリフォルニアロールが発明された理由が書かれていました。それは、CSVにも参考となるものです。

なお、「TRUST」は、「シェア」で共有消費を提唱し、タイムズ誌の世界を変える10のアイデアに選ばれたレイチェル・ボッツマンの新著で、シェアの時代に、企業・個人が「信頼」をどう構築するのかに示唆を与えてくれる好著です。政府、マスコミや大企業よりも個人のレビューが信頼され、エアビーアンドビーやウーバーなど、見知らぬ個人を信頼するサービスが普及する時代となっています。著者の言葉を借りれば、顔見知りの人だけを信頼する「ローカルな信頼」、政府やマスコミなどを信頼する「制度への信頼」の時代から、多数の見知らぬ個人を信頼する「分散された信頼」の時代にシフトしています。「TRUST」は、そうした時代の潮流や事例を紹介し、そこで何が必要なのかについてのヒントを与えてくれます。

カリフォルニアロールが発明されたのも「信頼」と関係しています。アメリカで寿司が提供され始めたのは、1960年代ですが、最初は、寿司という新しいものに寄り付く人は、いませんでした。ステーキにマッシュポテトを添えた夕食が一般的な中で、外食で生の魚を食べるという発想は、危険なものにすら思われていました。馴染みがなかったのです。新しいアイデアが信頼を得るには、まず、馴染みのないものを身近に感じてもらう必要があります。

寿司がなかなか米国で受け入れられない中、ロスアンゼルスの寿司職人が、寿司を身近に感じてもらうためのアイデアとして、「馴染みのない食材とキュウリやカニやアボガドといった見慣れた食材を組み合わせたらどうなるだろう?」と考えました。さらに、外側に米が見えて内側に海苔のある「裏巻き」のほうが、米国人にとっては身近に感じられることにも気が付きました。そして、カリフォルニアロールが生まれ、寿司人気に火が付きました。

「カリフォルニアロールの教訓は単純だ。人間は本当に新しいものは欲しがらない。馴染みのあるものをこれまでと違うやり方で提供するほうがいい」。ニール・イヤール氏は、著書でそう述べています。カリフォルニアロールの原則は、新しいものと馴染みのある何かを組み合わせて、「新しいのに見慣れたもの」を作ることが、信頼獲得の上では重要だということです。

CSVでは、消費者の意識を変えて市場を創造することが必要となるケースがあります。消費者にCSVの新しいコンセプトを受け入れてもらうには、「馴染があると感じてもらう」カリフォルニアロールの原則をうまく活用すると有効なことも多いでしょう。

(参考)
「TRUST-世界最先端の企業はいかに<信頼>を攻略したか」レイチェル・ボッツマン著(日経BP社、2018年)

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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