食品ロス・廃棄に関する最近の世界の動き

2018-10-02 09:20 pm

世界的に飢餓・栄養不足の問題がある一方で、食料の3分の1がロス・廃棄され、人間が原因となる温室効果ガス排出の8%、水利用の18%、中国に匹敵する土地利用といった、大きな環境影響を与えています。経済的損失も年間1兆ドル近いとされています。この問題は、SDGsでも関心の高い問題として、SDG12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」が掲げられています。また、このSDG12.3実現のため、食品ロス・廃棄削減に向けた啓発活動、情報共有、投資促進などを推進する食品・小売関連企業、政府、研究機関、農業団体、市民セクターなどによるマルチステークホルダー・イニチアチブ「チャンピオンズ12.3」が結成されるなど、様々な取り組みが進められています。

なお、食品ロス・廃棄(Food Loss/Waste)の定義はいろいろあり、日本では、食品ロスは、食品廃棄のうち本来食べられたものと定義されており、食品廃棄⊃食品ロスであるのに対し、国連では、食品ロスを食品の量的・質的減少、そのうち供給側の原因によるものを食品廃棄としており、食品ロス⊃食品廃棄となっています。SDG12.3の記述は、当然ながら、国連の定義にもとづいています。

様々な食品廃棄・ロスに対する取り組みが進められていますが、チャンピオンズ12.3が最近発行した進捗レポートによれば、世界の50の大手食品企業のうち、約3分の2がSDG12.3に基づく食品ロス・廃棄削減の目標を掲げるプログラムに参加しています。また、企業・政府が、食品ロス・廃棄を定量化し、情報開示しながら取り組みを進めています。チャンピオンズ12.3では、SDG12.3実現に向けたロードマップも示し、それに対する進捗を示しています。

champions123.org/2018-progress-report/

企業に関しては、マース、ユニリーバ、ゼネラルミルズなど10の食品企業最大手が、2030年までに食品廃棄を半減するという目標を掲げた上、食品廃棄のデータを12カ月以内に開示し、サプライチェーンと消費者の家庭における食品廃棄削減のための具体的ステップを進めることにコミットしています。

食品ロス・廃棄のデータをグローバルで可視化する動きとして、地域、食品の種類、サプライチェーンの段階別に食品ロス・廃棄のデータを示す「食品廃棄アトラス」なるウェブサイトも出来ています。

www.thefoodwasteatlas.org/home

アフリカでは、SDG12.3にもある収穫後損失が年間40億ドルに上り4,800万人分の食料に該当するとして、2025年までにアフリカにおける収穫後損失を半減することを目標として掲げた戦略が打ち出されています。

その他、BCFN財団とSDSNによるフードシステムの変革に向けたロードマップ作成、飢餓の問題を解決し、2030年までに増加する人口に必要な栄養を提供しようとする業界横断コラボレーションによる取り組み”Tech Impact 2030”、世界のフードシステムの変革に向けたスタートアップへの投資プラットフォームを構築するFoodShot Globalの”Moonshots for Better Food”チャレンジなどの動きがあります。

こうした様々な動きにおいて、日本政府や日本企業などの影は薄いですが、“Mottainai”の精神やノウハウを持つ日本は、本来、食品ロス・廃棄への貢献ポテンシャルがあるはずです。食品供給の多くを海外に頼っているリスクへの戦略的対応という視点も含め、食品廃棄・ロスのグローバルでの取り組みにはもっと関心を持つべきでしょう。

(参考)

www.sustainablebrands.com/news_and_views/waste_not/sustainable_brands/african_union_champions_123_unveil_3_latest_weapons_food

www.sustainablebrands.com/news_and_views/collaboration/sustainable_brands/bcfn_foundation_un_sdsn_promise_roadmap_global_food_

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