日本の大企業CEOの意識の変化

2018-10-15 09:02 am

現在の仕事のクライアントは、ほぼ日本の大企業で、トップインタビュー、ダイアログなどで、CEOと直接お話させて頂く機会もあります。ESGやSDGsなどに関して、多くのCEOはその重要性は理解されており、少なくともコミュニケーション面では、ESGやSDGs重視を打ち出しています。しかし、経営や事業のやり方自体は、ほとんど変わっていないのが実態です。それでも、本当にESGやSDGsなどの重要性を理解していそうだという日本企業CEOの発言も増えてきており、今後は、ESGやSDGsを経営に本質的に統合し、長期的な競争力を高めていく企業が出てくることも、期待できるかも知れません。

最近のメディア報道では、10月14日(日)の日経新聞に日立製作所の東原社長のインタビューが載っていましたが、デジタル化による製造業のあり方の変化を中心とした話の最後に、人材の多様性と流動性の必要性について語り、「『社会貢献の在り方に共感できるから日立にいる』という人材が集まる企業になれればいい。私は41年間、日立一筋で勤めてきたが、今の社会の変化をみて、素直にそう思う」と述べています。日立もSDGsレポートを発行するなど、コミュニケーション面では力を入れていますが、「共感できる社会貢献の在り方」でどう差別化していくのか、今後に期待したいですね。

味の素は、日本の大企業の中でも、コミュニケーションを超えて、経営や事業を変化させようとしているという意味では、1歩先を行っている印象があります。日経ビジネス2018.10.15号の経営教室で西井社長が、「サステナブル経営」について語っています。

西井社長は、「経営のベクトルを特定の分野に集中しないと勝てない時代になった」という認識のもと事業のさらなる選択と集中が必要と考えていました。そして、「何を軸に選択と集中の判断をしたら、社員の皆さんに納得してもらえるのか、そう考えていた時に出合ったのが、SDGs」だということです。SDGsが、味の素がアミノ酸をベースとした事業でソリューションを提供できる栄養や健康に関係する課題を多数含むことを踏まえ、「SDGsに経営のベクトルを合わせて人々が共感しやすいビジョンを作れば、社員の気持ちを動かせるのではと考えた」そうです。そして、SDGsに沿ってビジョンを組み立てなおし、事業の取捨選択をして、自らが解決したいSDGsではない物流や製薬などは、他社との共同などを進めています。

また、味の素ならではの貢献ができる最優先で解決すべき課題として「栄養を通じた健康的な社会の実現」を特定し、中期経営計画では、非財務目標として「野菜や肉の摂取量や共食の場を増やす」といった非財務目標を掲げました。数値目標への落とし込みは、かなり大変だったようですが、目標は数値化したほうがPDCAの改善サイクルの効果が大きいと考えてこだわって実現したようです。その成果は、海外社員のモチベーション向上など、すでに出てきているようです。

食品業界では、ネスレ、ダノンなど、ESGやCSVの先進企業がいますので、社会・環境への意識の高いミレニアル世代が消費者の中心となる中、西井社長は、「財務目標を追求するだけでは、見向きをされなくなる」と危機感を持っているようです。

「財務目標を追求するだけでは、多くのステークホルダーに見向きをされなくなる時代」へと変化する大きな潮流に、多くの経営者は気付いていると思います。そこにどれだけ危機感を持って強くコミットできるか、財務とのバランスも考えながら、どう戦略的な取り組みを進めることができるか、そこが問われています。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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