SDGsへの貢献だけでなく、経営的意味合いを語る

2018-11-05 08:57 am

昨年、今年と、市民セクターや、企業のCSR担当だけでなく、大企業のマネジメント、地方自治体、教育の場などで、SDGsへの関心が広まりつつあると感じます。大企業が中心ですが、CSRレポートなどでSDGsへの貢献をアピールするのはスタンダードとなりましたし、SDGsの社内研修などを行う企業も増えています。中計など経営計画で、SDGsへの貢献を謳う企業も増えています。

しかし、現時点では、ほとんどの企業で、自社の既存の取り組みが、如何にSDGsに貢献しているかをアピールしているに留まっており、SDGsへの貢献が如何に自社の長期的競争力につながっているかの情報を提供しておらず、さらなるSDGsへの貢献のための新たな取り組みも検討されていません。SDGsと自社の長期的競争力の関係を、CSV視点で明らかにし、それを強化していくビジョンがなければ、SDGsへの貢献が本質的にESG投資家に評価されることもないでしょう。

SDG1「貧困」に取り組む企業には、BOPビジネスなどを通じて、長期的視点で市場を創造するというビジョンが必要です。SDG2「飢餓」は、食品企業のサプライチェーンの生産性向上のための小規模農家支援がフィットしますし、持続可能な食料生産システム、レジリエントな農業は、スマート農業、陸上養殖、培養肉など注目される市場もあり、成長領域です。SDG3「健康・福祉」は、ヘルスケア企業の事業そのものと関係しているほか、自動運転を通じた交通事故削減など多くの事業機会を提供します。加えて、健康経営による生産性向上などとも関係します。SDG4「教育」は、エデュテックなどの事業機会とも関係しますが、人材は、企業競争力の源泉であり、現在および将来の自社にとって必要な人材を育成することは、持続的成長に必要です。さらには、自社の市場を創る人材を育成するという視点も持つべきです。

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SDG5「ジェンダー平等」は、ダイバーシティによる競争力向上の一環としての女性活躍推進もありますが、人材不足のボトルネック解消による市場の成長にも貢献しますし、女性活躍を支援・促進する製品・サービスの事業機会もあります。SDG6「水・衛生」は、海水淡水化や水浄化などの水ビジネス、点滴灌漑、漏水防止などの水利用効率化ビジネスなどの事業機会のほか、水を大量に使用する企業のバリューチェーンの持続可能性、飲料企業の水源保全などビジネス環境維持の取り組みにも関連します。SDG7「エネルギー」は、クリーンエネルギーやエネルギー利用効率化などの事業機会のほか、エネルギーを大量に使用する企業のバリューチェーンの持続可能性に関係します。SDG8「働きがい・経済成長」は、RPAなどの生産性向上、観光、コミュニティバンク等の事業機会のほか、未利用人材の活躍支援などのCSVにも関係します。

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SDG9「産業と技術革新の基盤」について、レジリエントで持続可能なインフラ構築は、建築物など様々な事業機会を提供するほか、自社事業の継続性にとっても重要です。またイノベーションの促進は、企業の競争力の基本です。SDG10「不平等」は、ロボットスーツなどのユニバーサル製品・サービスが関係するほか、未利用人材の活躍支援などによるバリューチェーンのCSVも関係します。SDG11「まちづくり」は、スマートシティ、スマートモビリティなど注目されている市場のほか、安全で安価な住宅などこれから期待される市場もあり、事業機会の宝庫です。SDG12「持続可能な生産消費」は、サーキュラービジネスの対象であり、食品ロス、プラスチックなど注目される課題を含む、これも事業機会の宝庫です。アップサイクルなどのバリューチェーンのCSV、持続可能認証のルール形成・啓発による競争力強化といったビジネス環境のCSVにも関連します。

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SDG13「気候変動」は、緩和、適応の事業機会と関連し、GHG排出の少ない効率的で競争力のあるバリューチェーン構築、GHG削減技術のルール形成などのビジネス環境のCSVにも関連します。SDG14「海洋生態系」は、海洋プラスチックの代替素材、バラスト水浄化、持続可能な水産資源管理などの事業機会、海洋プラスチックを原材料として活用する新たなバリューチェー構築などに関連します。SDG15「陸上生態系」は、ICTによる生態系保全サービス、持続可能な森林資源の利用などの事業機会に関連するほか、生態系を保全する持続可能なバリューチェーン構築は、競争力を強化することにもつながります。SDG16「平和と公正」は、エシカル商品、サプライチェーンの持続可能性向上支援などのサービスに関連するほか、持続可能なサプライチェーン構築は、競争力にもなります。SDG17「パートナーシップ」について、コラボレーションは、CSVの基本です。非競争分野の協働なども重要です。

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このようにSDGsのゴールごとに、それぞれの業界、それぞれの企業にとっての事業機会、競争力向上の機会があります。自社とSDGsとの関係性をCSV視点で見ることにより、SDGsへの貢献を通じて如何に自社の競争力を高めることができるかを整理し、それを示すことができます。そのようにSDGsへの取り組みの経営的意味合いを語ることができれば、投資家を含む多くのステークホルダーに評価されるでしょう。そして、SDGsへの貢献が自社の競争力につながるということが共有されれば、新たな取り組みにもつながっていくでしょう。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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