SKグループの取り組みと事業の社会的価値を測定する意義

2018-11-12 10:05 am

先日の日経フォーラム「世界経営者会議」で、韓国SKグループ会長の崔泰源氏が非常に興味深い話を語っています。SKグループは、社会とともに成長すること、「持続可能な幸せづくり」を経営哲学としているとし、さらには、ハイパーコネクテッドな市場における関係づくりには、経済的価値だけでなく、社会的価値を創出し顧客に伝えることが必要になっているとしています。そして、SKグループでは、社会的価値創造のために、4つのアプローチをとっています。

1つは社会的価値を測定することで、17の系列会社に社会的価値の測定を義務付けたそうです。2つ目は企業が持つインフラを社会と共有することで、SKエナジーの給油所ネットワークを開放し、競合や郵便局と協業して宅配インフラを構築しているそうです。3つ目は社会的企業の育成で、企業の社会的価値を測定し、その一部をキャッシュバックする「社会成果クレジット」制度を通じ、4年間で188の社会的企業を育成しているそうです。4つ目は社会問題の解決で、他の企業と連携して、経済的な理由などで食事を十分にとれない児童を支援しているそうです。

2つ目の企業のインフラを社会と共有すること、3つ目の社会的企業の育成は、非常に筋の良い取り組みです。企業が持つインフラを、コストをかけることなく、社会に役立てることができるのであれば、積極的にそうすべきです。ステークホルダーとの関係構築などで、CSVにつながるケースも多いでしょう。社会的企業の育成は、経営のプロが社会に貢献できることです。SKグループの崔会長は、韓国で2027年までに社会に貢献できる企業を10万社に増やすプロジェクト「10万社会的企業創業」を提案しています。韓国では社会的企業の数が約1,700社、GDPの0.25%で、これを10万社、3%に育成すれば、社会的企業の革新が韓国社会全体に広がり、社会的革新のムーブメントが起こり、韓国社会を画期的に変化させる、としています。

1つ目の社会的価値の測定については、日本でも日立製作所が、各事業の社会・環境価値の評価を進めるなどの取り組みが行われています。企業の事業その他の活動の社会的価値を測定し、それをコミュニケーションすることは評判向上に役立ちますし、事業部門に事業が生み出している社会的価値(ポジティブ+ネガティブ)を意識してもらうことは、事業の進め方にも影響を与えるでしょう。

しかし、今後は、崔会長がピーター・ドラッカーの「測定できないものは管理できない」という言葉を引用して、マネジメントする意欲を示しているように、社会的価値をマネジメントすることが求められます。そうでなければ、現状の延長線上では実現できないSDGsに貢献しているなどとは、本質的には言えないでしょう。海外の先進企業は、「2025年までに年間30億人の人々の生活を向上させる」(フィリップス)、「5,000万人の子供たちがさらに健康的な生活を送れるように支援」「事業活動に直結するコミュニティに暮らす3,000万人の生活向上支援」「事業活動における環境負荷ゼロを目指す取り組み」(ネスレ2030アンビション)など、具体的な目標を掲げて、社会的価値を可視化してマネジメントしています。このように社会的価値のビジョンを掲げて、マネジメントできるかどうか、現時点では、そこに日本企業と海外先進企業の差があります。

(参考)
日本経済新聞2018年11月8日朝刊

www.thefactjp.com/economy/read.php?sa_idx=23447

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