社会への貢献を世の中にどう伝えるべきか?

2019-01-16 09:53 pm

前回、DHBRの論文から、「企業がサステナビリティに取り組むべき理由」について書きました。一方で、サステナビリティに取り組んだとして、それをどう世の中に伝えるかというのは、また悩ましい問題でもあります。今回は、この世の中への伝え方について、マーク・クラマー氏によるDHBRの別の論文「社会貢献を上手に知らしめる方法」の内容を中心にご紹介します。

企業が「いいこををしています」アピールをし過ぎると、批判されることがあります。昨年のスーパーボウルのCMで、ヒュンダイが自社で設立した小児がん研究支援団体に1,500万ドル寄付したことをPRしたことが批判されました。1,500万ドルの寄付をPRするために高価がスーパーボウルのCMに500万ドルもの大金を使うのは偽善ではないか、ということです。

マーク・クラマー氏は、企業の善行が評価されないのは、伝え方が画一的で、企業監視機関(ソーシャルメディア活動家、NGO、政府機関など)、従業員(勤務先に誇りを持ちたいと考えている)、投資家(企業の価値と命運を最終的に左右する)、顧客と一般市民(企業の収益源であり、ブランドアイデンティティの決定権を握る)のそれぞれが重視する点に絞ったメッセージの発信ができてないからだ、としています。

企業監視機関は、企業がもたらす悪影響に目を光らせており、極めて知識が豊富で、社会・環境活動に関して詳細で実質的な報告を求めています。また、社会課題解決に向けて企業と協働したいと考えており、継続的な対話等による関係構築が有効です。

従業員については、全員が日々の仕事に意義を見出すようにすることが重要です。そのためには、トップマネジメントが自社の社会的意義、パーパスを明確に打ち出すことが有効です。さらには、パーパスに基づき真摯に行動することも必要です。それができれば、あらゆる階層の従業員が自社を誇りに思うでしょう。

投資家が求めているのは、社会や環境にインパクトをもたらせば経済的業績と競争優位が向上するというストーリー、社会的インパクトから得られる経済的メリットに関する情報です。社会的インパクトと経済的リターンが連動している説明と裏付けデータは、投資家が実際に目を通す年次報告書とCEOメッセージに記載すべきです。

一般市民と顧客について、「フェアトレード商品」や「再生材100%」といったシンプルな店頭メッセージは消費者には効果的ですが、ブランドイメージに強い印象を与えることにはなりません。一般市民に強い印象を与えるためには、企業が社会問題でリーダーシップを発揮する必要があります。社会が感銘を受けるのは、企業自身とCEOの行動で、重要な理念のために戦っていることを実証したときです。こうしたメッセージは、報道機関のニュースとして一般市民に届きます。

CMやサステナビリティ報告などの定型的なコミュニケーションに加え、こうしたステークホルダーごとの特徴を踏まえたコミュニケーションが、社会との信頼関係を築き、企業の評判を高め、ブランド価値を高めるには重要です。なお、1年前にもDHBRの論文をベースに、ステークホルダーごとのコミュニケーションについて、書いています。ご参考まで。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=3253#.XDmuBvZuJdh

(参考)
「社会貢献活動を上手に知らしめる方法」マーク R. クラマー著(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2019年2月号)

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参考CSV情報

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856747026032018000000?page=5

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