富士通に見る社会課題を解決するDNA

2012-07-09 08:51 am

戦後、日本の発展のために貢献するという思いをドライバーとして、世界から賞賛される経営を推進してきた日本企業は、失われた20年の間にその輝きを失ったようにも見えます。しかし、「社会の発展に貢献する」というDNAはまだ失われていないように思います。

そして、世界が短期利益主義の反省に立ち、新しい経済や企業活動のあり方を模索する中、日本企業の持つDNAが再び輝きを放つ可能性があります。特に、グローバルでの環境や社会問題への懸念が高まる中、社会課題を解決する「公器の経営2.0」を実践する企業としての発展が期待されます。

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そうした社会課題を解決する新しい時代のリーダー候補として、期待される企業の一つが富士通です。最近発行された「挑む力 -世界一を獲った富士通の流儀-」を読むと、富士通に流れる社会課題を解決するDNAが、事例を通じて良く伝わってきます。

以下、この本の主人公である、製品・サービスを通じた社会課題解決に取り組む富士通の社員の言葉で、印象に残ったものを示します。

「妄想を構想に、構想をかたちに」「天文台さんの夢は大きいんです。それを実現することが、人類のためになると信じていますから。その夢を、どうやって、どこまで実現するかを考えて完全に作り上げるかが、私たちに課せられた責務です。」

⇒ハワイ島マウナケア、標高4,200mの山頂にある国立天文台すばる望遠鏡の観測・データ解析システムを開発した瓦井氏らの言葉です。人類に貢献しようとするお客様の思いをかたちにして、共に実現する。それこそが、富士通の役割であるとの思いと、富士通に流れるお客様との共創を通じた社会課題解決のDNAが伝わってきます。

「実践あるのみ。理屈なんて後付けです。考えてから行動するのでは遅い。行動しながら考えて、実践知を得るしかありません。そうしながら実績を作れば、必ず報われます。逆に、こういった非常時に、やらなかったらどうなりますか。富士通はお金がないと動かない会社だと思われてしまう。」「被災地支援は競争ではない。いくら寄付したか、いくら無償にしたかを競う必要はない。本当に役に立つ、地に足が着いたことをやろう。」

⇒東日本大震災直後、「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト(つなプロ)」のシステム構築を進めた生川氏の言葉と、それを支えた山本社長の言葉です。『ともかくやってみよう』という富士通の地に足の着いた、スピード感のあるチャレンジ精神のDNAが体現されています。

「富士通は、人を幸せにするものを作らないといけないんじゃないでしょうか。」「作り手の視点だけでは、良いものが作れません。同時に、お客様の声に応えるだけでも、技術は進歩しませんし、イノベーションも起こりません。『これ、どうですか』という提案を骨太の場(最も大切なことを部門横断的に議論する場)で生み出して、開発者の思い込みにならないようにヒアリングをして、それを製品に適用するというサイクルを回しています。」

⇒高齢者の暮らしを支える「らくらくホン」の開発を担当する中条氏の言葉です。ここでも、お客様との共創を通じた社会課題解決のDNAが表現されています。また、「人を幸せにするものを作らないといけない」という言葉を聞いた上司は、別の場で、「そう思っている担当者がいる本部は、良く製品が作れるはずだ」と語っていたとのことです。社会に貢献するとの思いが組織に根付いていることを感じさせます。

「とても良い製品ですし、人に喜んでもらえる仕組みです。後になってそういう評価を得られるのなら、極端なことを言えば、私個人は、今、会社から評価されなくてもいいと思っています。富士通はテクノロジーの会社です。ですから、テクノロジーで世の中に貢献していかなくてはならない。ただそのためには、ビジネスとして成立させ、会社からも認められないと、続けられなくなってしまいます。」

⇒犯罪の多いブラジルで、顧客に過度な負担をかけることなくセキュリティを確保する仕組みとして、手のひら静脈認証の導入を進めた代居氏の言葉です。自己よりも社会のために長期的視座で自社製品を広げるという思いと、テクノロジーで社会に貢献するという富士通のDNAが良く表されています。

富士通の山本社長は、言っています。「テクノロジーをベースに、『ともかくやってみよう』というチャレンジ精神で、お客様に尽くす。この富士通のDNAが、時代が移り変わっても、連綿と受け継がれている。」

富士通のDNAがグローバル社会の課題解決に貢献し、新しい時代を牽引する。そのために必要なのは、自らの力に対する自信と、自らが世界を、社会を支えるという自覚です。

「挑む力」に登場する社員の言葉からは、自信と自覚が伺えます。こうした社員が生き生きと能力を発揮し、富士通のDNAから発せられる力を社会への価値として展開できれば、富士通は、新しい時代のリーダーとなれるでしょう。富士通のマネジメントには、「公器の経営2.0」を社員が実践していけるようなリーダーシップの発揮、マネジメントの推進を期待します。

(参考)

「挑む力 -世界一を獲った富士通の流儀-」片瀬京子、田嶋篤共著(日経BP社、2012年)

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