感情の絆を育む経営-スターバックス-

2012-07-23 08:03 am

 米国の文化親善大使として、世界中に米国文化を広げている企業として、コカコーラ、マクドナルド、ディズニー、アップルなどが挙げられると思いますが、今ではスターバックスもその中に含まれるでしょう。

一昔前は、“アメリカン”は、薄くてまずいコーヒーの代名詞でしたが、スターバックが新しい米国のコーヒー文化を創り出しました。

しかし、単にコーヒーが美味しいだけでは、顧客を惹きつけ続けるには十分ではありません。近くにスターバックスと同じようなコーヒーを出す店があるときに、顧客に値段がやや高いスターバックスを選び続けてもらうためには、顧客の感性に訴えかけ、顧客との感情の絆を強くすることが必要です。

顧客との感情の絆を強くするための活動の一つに「シェアード・プラネット」があります。「シェアード・プラネット」は、スターバックスが地球や社会のサステナビリティに貢献するための活動で、重点取り組み分野として、環境面でのリーダーシップ、倫理的な調達、コミュニティへの貢献を挙げています。

環境面でのリーダーシップに関しては、2015年までに、すべてのカップのリユースやリサイクルに取り組むとしています。その一環として、北米で顧客がマイカップを持参するとドリンク代が10セント割引になるという取り組みがありますが、こうした取り組みは、顧客と一緒になって地球環境負荷を軽減しようとするもので、サステナビリティという切り口を通じて、顧客とのつながりを強化しています。

倫理的な調達に関しては、2015年までに、買い付けるコーヒーのすべてを責任ある方法で栽培され、倫理的に取り引きされたものにするとしています。また、スターバックスはコーヒーの大部分を途上国の小規模農家から調達していますが、NGOなどと協力しつつ、こうした農家に対し、生産能力向上や森林破壊防止などの支援を行っています。さらには、原料を調達している地域の工芸品を店舗で販売するといったことも行っており、顧客がスターバックスを選ぶことで、顧客が途上国の農村の発展に貢献できるということを、分かりやすく伝えています。

コミュニティへの貢献に関しては、2015年までに、グローバルで年間100万時間規模のコミュニティ貢献を行う、5万人のユース層をサポートし、支援を受けたユース層がコミュニティに革新をもたらし、コミュニティに貢献していくことをサポートしていくとしています。スターバックスは、以前からコミュニティ貢献には熱心で、ハリケーンカトリーナの爪痕が残るニューオーリンズで、CEO以下1万人規模のコミュニティ貢献を行なったこともあります。こうした活動を通じて、スターバックスの社員は、自社に対して誇りを持つとともに、奉仕の精神も培われます。

スターバックが顧客とのつながりを生み出すために最も重要なリソースは、バリスタと呼ばれる顧客と直接接する社員です。シェアード・プラネットの活動は、バリスタのモチベーションや奉仕の精神を高め顧客サービスのクオリティを上げるとともに、顧客の共感を生み出し顧客とスターバックスの絆を強めます。まさに、社会にとっても、企業にとっても価値のある取り組み、Creating Shared Value(CSV)と言えるでしょう。

(参考)

「スターバックス再生物語」ハワード・シュルツ&ジョアンヌ・ゴードン著(徳間書店、2011年)

「生き残る企業のコ・クリエーション戦略」ベンカト・ラマスワミ&フランシス・クイヤール著(徳間書店、2011年)

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