新しい食習慣を創り出すCSV-テトラパック-

2012-08-08 01:35 pm

テトラパックは、スゥエーデンに本社を置く、常温長期保存が可能な食品・飲料用紙容器の充填包装システムを世界中で展開するグローバル企業です。日本でも乳業や飲料企業に供給した容器システムが、年間数十億個の容器を生産しています。

テトラパックは、顧客にシステムを提供する際に、食品加工と包装の専門家チームを派遣し、顧客の工場の操業状態を検証、工場への製品の出入りや流れ、製造目標、輸送スケジュール、障害や機器の故障の原因、廃棄率などを詳細に調査し、無駄を排除する最適なシステムの導入を勧めます。また、導入にあたっては、専門家による顧客企業の社員の訓練、継続的なモニタリングと必要に応じたグレードアップなどを提供します。こうしたトータルサービスの提供を通じて、顧客の様々なプロセスに深く入り込み、顧客との継続的な関係を築いています。

このようにユニークなビジネスを展開するテトラパックですが、「容器はそれにかかるコスト以上のメリットを社会に還元しなくてはならない」という創業者の言葉を行動指針として事業を推進するテトラパックの紙容器は、環境面でも非常に優れています。

例えば、ガラス瓶容器とテトラパックの紙容器を比較した場合、廃棄や輸送に関わる環境負荷は、紙容器のほうが圧倒的に小さくなります。ガラス瓶容器で飲料を輸送した場合、重量の半分が瓶ですが、テトラパックなら容器重量はわずか数パーセントとなります。また、円柱形の瓶に比べ角柱形テトラパックは、輸送時にスペースを無駄にせずに済みます。さらには、テトラパックは、冷蔵せずに新鮮な状態を長期間保つことが可能なため、低温流通を行う必要がなく、冷蔵に関わる環境負荷も削減できます。

テトラパックの紙容器は、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の基本的なアプローチである社会に価値を生み出すイノベーティブな製品と言えます。

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また、テトラパックは、新市場の展開において、競争基盤/クラスターを強化するCSVも展開しています。

テトラパックは、容器パックの用途として最も重要なものの一つである牛乳の需要を創り出すため、世界各国で、政府機関、NPO、地元の乳業・酪農業者と連携して、学校給食(Food for Development)プログラムを展開しています。このプログラムにより、各国で、「牛乳を飲む世代」を創り出し、各国児童の栄養状態の改善に貢献するとともに、テトラパックと顧客のビジネスを切り拓いています。

例えば、中国では、子供たちに学校で牛乳を飲ませる利点を栄養学的視点から家族や教師に指導しているほか、「乳製品学校」などで酪農家を教育し中国で生産される原乳の品質を向上させるなどの活動を実施しています。

なお、学校給食プログラムは、途上国において、児童の栄養状態の改善に加え、現地で製品を製造するサプライチェーンを築くことにより、地元の雇用を創造し、地元経済の活性化にも貢献しています。

現在は、途上国では栄養、先進国では肥満の問題が深刻であり、食品に関わる企業にとっては、健康に良い新しい食習慣を広げるとともに、自社のビジネスを成長させるCSVを展開する機会は、多くあるのではないかと思います。

多くの日本の食品関連企業にとって、グローバル展開が大きな課題となっています。グローバル展開にあたっては、健康に良い食習慣を広げ、競争基盤/クラスターとしての自社製品に対する需要を創り出すCSVから入ることは、検討する価値があるでしょう。

(参考)

「ザ・ディマンド」エイドリアン・J・スライウォツキー著(日本経済新聞出版社、2012年)

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