「幸せを届ける会社」ザッポスのマネジメント

2012-08-15 12:26 pm

靴のオンライン販売で全米最大の企業ザッポスは、「ザッポスは世界に幸せを届ける会社です」と宣言し、顧客と社員に幸せを届けることを企業活動の目的としています。

顧客を幸せにするために、ザッポスでは、正社員のオペレーターが24時間365日、コールセンターで顧客対応を行っています。オペレーターは、「サービスを通じて、WOW(驚嘆)を届けよう。」というザッポスのコア・バリューの1つを実践することを教育や評価を通じて徹底されており、自主的に最高の顧客サービスを提供しています。

有名なエピソードとしては、病床の母親のためにザッポスで何足か靴を買ってあげたが、母親の病状が悪化して亡くなってしまったため、返品を希望した顧客に対し、自宅までの集荷サービスを無料で手配したほか、顧客にお悔やみの花束とメッセージカードを贈った例などがあります。

一方、社員に対しては、人生の目的は突き詰めると“幸福の追求”であるとし、「サイエンス・オブ・ハピネス」を研究しているCEOのトニー・シェイが、幸せのフレームワークをもとに、社員を幸せにする仕組みを導入しています。

幸せのフレームワークによれば、幸せとは、自分で自分をコントロールしていると感じられるか、自分が進歩していると感じられるか、つながり(関係の数と深さ)、ビジョンと意味(自分がより大きなものの一部となること)の4つのことで決まります。

「自分で自分をコントロールすること」に関して、ザッポスでは、オペレーターの「スキル・セット」制度を導入しています。約20のスキル・セットについて、トレーニングを受けて認定を受けると小額の昇給がありますが、スキル・セットを取るがどうか判断は、オペレーターに任されています。これにより、オペレーターは、自分の給与とどのスキル・セットを習得するかをコントロールできるようになり、以前よりも幸せになっているとのことです。

「進歩を感じること」に関して、ザッポスでは、以前は18ヶ月に1度昇進していたものを、6カ月ごとに小さな昇進をする形に変えています。これにより、社員は自らが進歩し続けていることを感じられ、以前よりも幸せになっているとのことです。

「つながり」に関して、ザッポスでは、企業文化を強調し、企業文化、コア・バリューを軸に、人財の採用、研修、評価を行っています。10のコア・バリューの1つには、「ポジティブなチームとファミリー精神を築く」というものもあり、非常に家族的でつながりを感じられる組織を創り上げています。

「ビジョンと意味」に関しては、「世界に幸せを届ける」という考え方自体が崇高な目的であり、こうしたビジョンを持つ会社の一員であることで幸せを感じられます。

この幸せのフレームワークは、企業のマネジメントにとって参考となる部分も多いのではないでしょうか。

例えば、「つながり」に関しては、会社とのつながりを感じている社員ほど生産的であり、また社員が職場に持つ親しい友人数が社員の会社とのつながり感と相関関係を持っているとの研究結果があります。これは、日本企業が強かった時代にまさに強さの源泉となっていた部分だと思います。近年、日本企業では、会社と社員のつながりは、薄くなってしまいましたが、若者がつながりを求めている今、日本企業の強みであった会社と社員、社員同士のつながりを再生するチャンスではないでしょうか。

また、「崇高な目的」については、自らがどう社会に貢献し、それをどう利益と両立させていくのか、そのストーリーを描き、社内外に伝えていくことが重要でしょう。そうした崇高な目的を実現するための一員となることが、社員の力を引き出し、企業の競争力になるとともに、社員の幸せをもたらします。社会貢献と利益を両立させることは、企業競争力と社員の幸せを両立させることでもあるのです。

(参考)

「ザッポス伝説」トニー・シェイ著(ダイヤモンド社、2010年)

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