CSVの成果を測定する

2012-10-15 09:08 am

本ブログの中心テーマであるCSV*(Creating Shared Value)は、企業が現在の社会が抱える問題を解決しつつ、収益や競争力を向上させる戦略を積極的に展開することを通じて、資本主義をより良い形で機能させようとするものです。

企業がCSVを積極的に展開し、より良いものにしていくには、その効果を測定することが極めて重要です。企業の収益/競争力と社会問題の解決を両立させる戦略を描き、実行し、効果を測定し、必要な改善を加えていくというPDCAマネジメントにより、CSVを進化させていくことが必要です。

これまでは、事業価値と社会価値は、基本的に別々に測定されており、アニュアルレポートで売上・利益などを、CSR/サステナビリティレポートで、社会面や環境面のKPIに対する成果を開示するのが一般的でした。レポートとしては、統合されている企業でも、1つの戦略に対して、事業側面と社会側面の評価を行っている例は、ほとんどありません。

また、CSR/サステナビリティ活動の事業価値を示すためには、CSR/サステナビリティ活動と企業の業績との相関性を測定したり、一定の仮定を置いて、CSR/サステナビリティ活動の成果を金銭価値に換算したりすることが行われてきました。

しかし、CSVの成果としては、事業価値と社会価値の両方を直接測定する必要があります。

CSVの3つのアプローチ*のうち、製品・サービスを顧客に提供する「製品・サービスのCSV」については、事業価値として売上、市場シェア、市場成長率、利益率など、社会価値としては、製品・サービスが対応する社会問題に応じて、治療された患者数、CO2排出削減量、栄養や教育の普及率などを測定します。

企業の競争力を強化する「バリューチェーンのCSV」「クラスター/競争基盤のCSV」については、事業価値として、削減コスト、利益率、定量化された品質や生産性など、社会価値としては、バリューチェーンやクラスター/競争基盤に対する打ち手が対応する社会問題に応じて、資源やエネルギーの削減量、教育や健康の普及率、サプライヤーの収益率などを測定します。

事業価値については、実施するCSVプロジェクトが意図する企業にとっての価値が生み出されていることを明らかにする指標を、社会価値については、それぞれのCSVが対応しようとする社会問題が解決に向かっていることを明らかにする指標を設定することが必要です。

コカコーラは、ブラジルで低所得層の若者がスキル不足で仕事を得られないという社会問題に対して、そうした若者をNGOなどとともに教育しつつ、コカコーラの小規模流通業者の戦力として活用しようとするプログラムを実施しています。

このプログラムについて、コカコーラは、社会価値の指標として、若者の就職率と自尊心の向上を設定、事業価値の指標としては、売上・利益とブランド認知度を設定しました。プログラム推進の結果、30%の若者がコカコーラまたはコカコーラのパートナーで勤めることとなり、10%は自分で事業を始めることになりました。また、2年間でプログラムは利益が出るようになりました。

コカコーラは、設定した指標の推移などの成果を見ながら、プログラムに必要な改善を加えていき、当初に意図したとおり、若者の就業率や仕事に対する意識を改善しつつ、コカコーラの流通業者の業績向上や地域におけるコカコーラのブランド向上を実現しています。

CSVは、企業活動を通じて、事業価値と社会価値を両方生み出そうとするものですが、従来の社会貢献活動が企業の評判を上げるものとして行われていたように、多くの企業活動について、事業価値と社会価値の両方を生み出していると定性的に説明することは、可能です。

しかし、CSVの本質的目的は、資本主義システムを持続可能なより良いものにしていこうとするもので、そのためには、社会にとって本当にインパクトのある活動を実施し継続することが求められます。そのためには、企業にとっての価値を生み出すことも求められます。

各企業が行うCSVが、本当に企業と社会にとって大きな価値を生み出しているかどうかは、評価指標を設定し成果を測定すれば、明らかになります。CSVがその本質的目的に向かっていくためにも、CSVの成果を測定することは、極めて重要です。

(参考)

”Measuring Shared Value: How to Unlock Value by Linking Social and Business Results” by FSG(Foundation Strategic Group)

*CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)およびCSVの3つのアプローチについては、以下を参照

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=162

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=436

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