新世代のCSV企業「メソッド」

2012-11-07 10:29 pm

「メソッド」は、家庭用洗剤という成熟市場で、「洗練されたデザインとサステナビリティの融合」を掲げて急成長している企業です。2000年に、サンフランシスコで、子どもの頃からの友達だったエリック・ライアン(当時29歳)とアダム・ローリー(当時27歳)の二人によって創業されています。

マーケティングの経験のあるエリックと化学エンジニアとして環境問題に取り組んでいたアダムは、偶然の再会をきっかけに新しいビジネスについて話し合い、人にも環境にも優しい、しかし汚れをばっちり落とす新しい洗剤を作ろうと思い立ちました。

メソッドの製品は、パッケージデザイン、目立つカラーリング、優れたフレグランスに特徴があります。また、自然由来で再生可能な製品を提供し、「Cradle to Cradle: C2C(ゆりかごからゆりかごまで)」という、有益で害のない資源循環の実現を目指す先進的環境認証をクリーナー業界として世界で初めて取得するなど、環境に非常に配慮しています。

しかし、メソッドが急成長しているのは、デザインや環境に優れた製品を提供しているからだけではありません。その企業文化のユニークさが、この会社の成功の秘訣です。

企業文化が重要な理由は、4つあります。

①イノベーションを生み出す力は、オープンで協力的な企業文化が醸成されたときに最大となる。

②有能な社員を惹きつけるには、魅力的な企業文化を提供することが必要。

③私生活と仕事の境界線が曖昧になる中、最高のワークライフバランスを実現する方法は、私生活に入り込まれても不快でない魅力ある企業文化を見つけること。

④力強い企業文化は模倣できず、究極の競争優位をもたらす。

この企業文化を生み出しているのは、「メソドロジー」と言われる価値観(バリュー)です。

メソドロジーは、「風変わりな社風を保つ」「冒険野郎マクガイバーならどうする」「模倣ではなくイノベーション」「コラボレーション、コラボレーション、またコラボレーション」「とことん思いやる」の5つからなります。このうち、最初の2つは、特にユニークです。

「風変わりな社風を保つ」ため、メソッドは採用活動を極めて慎重に行っており、面接を7,8回行った上に宿題を課しています。その宿題で、「メソッドの風変わりな社風を守るため、あなたなら何をしますか」という質問を出しています。

「冒険野郎マクガイバーならどうする」のマクガイバーは、米国のドラマの主人公で、様々な危機を手近な材料と豊富な科学知識の応用で切り抜け、数々の事件を解決します。この価値観により、メソッドは、少ない経営資源で大きな競争力を出し抜く力を培っています。

メソッドは、誰もが欲しがるような製品を作ることで環境にやさしい製品をできる限り多くの人に使ってもらうことが、社会をよりサステナブルに変える唯一の方法だと考えています。それを実現し、世界に貢献することがメソッドの社会的使命です。

社会や環境に意識の高いY世代が大量に労働市場に流入してきたことなどで、ビジネス環境は、使命重視型の企業に有利になっています。最近では、消費者は能動的になり、自分が関わりたいと思うブランドを選び、それ以外を受け付けようとしなくなっています。そうした世界では、競争優位の決定要因は、豊富な広告予算から、共感を呼ぶ社会的使命に移っています。

メソッドは、企業の使命と利益は両立するという信念を持っています。デザイン性の高い製品で利益を上げつつ、社会をサステナブルに変えています。20代の2人が創業した企業は、社会価値と企業価値を両立させている、まさに新世代のCSV*企業です。

(参考)

「メソッド革命」エリック・ライアン+アダム・ローリー著(ダイヤモンド社、2012年)

*CSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)については、以下を参照

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=162

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=436

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