攻めの姿勢で社会問題に取り組む企業IKEA

2012-12-10 08:36 am

顧客のセルフサービスによる低コスト、優れたデザインなどにより、世界最大の家具店となったイケアは、社会・環境問題に積極的に取り組む企業としても有名です。

イケアの元CEOアンダッシュ・ダルヴィッグ氏は、言っています。

「イケアで過ごした年月と、わたし自身の価値観の変化を通じて確信するようになったのは、多くの人は自分の仕事に権力や富といった空言を超える意味を見出せるときに、やる気や幸せを感じるということだ。わたしたちが事業を通じておこなうことは確かな価値を生み、人のためになるべきである。」

「より良い社会に貢献する方法はさまざまだろうが、まちがいなく必要になるのは、企業運営に関わるすべての利害関係者-株主、従業員、顧客、サプライヤー、サプライヤーの従業員、コミュニティ、さらには社会全体-に対してよりバランスよく配慮することだ。企業は株主に利益を還元するだけでなく、貧困を削減する、環境を改善する、平等を促進するなどのより大きな目標を設定しなければならない。」

「企業がこのような高邁な目標に本気で取り組んでいることが伝わると、最高の人材が集まるようになる。食い扶持を稼ぐためだけではない仕事をしたいと考える人々だ。最高の人材を集めることはビジネスで最高の結果(すなわち利益)を出すことに結びつく。このようにして、社会的責任の向上は株主の幸せにもつながる。」

ダルヴィッグ氏は、企業がより良い社会の実現への貢献と伝統的なビジネスの目的(株主の富の最大化)を同時に達成するための企業の条件として、まず「社会的目標を伴うビジョンと、ゆるぎない価値観」を挙げています。そして、イケアの最大の強みは、「より快適な毎日を、より多くの人々に」という、社会的目標を伴った揺ぎないビジョンだとしています。

このビジョンは、「経済的に余裕のない人を支援する」ことや「環境的・社会的条件を改善する」ことに結びついており、イケアがリスクの高い新興国に早期に進出したり、社会・環境問題に積極的に取り組むことを促しています。

例えば、イケアは、気候変動問題に対応し、2020年までに消費電力をすべて再生可能エネルギーにするという目標を掲げ、積極的に店舗や工場への太陽光パネルの設置や風力発電の導入を行っています。

また、サプライヤーとその下請業者での児童労働防止にも積極的に対応しており、UNICEFと提携して、インドのカーペット産業地域の児童労働防止・根絶に乗り出しています。

イケアの社会・環境問題に対する積極的な姿勢は、日本進出時にも表れています。イケアが日本に進出する際、最大の難題となったのは、家具製品から発生するホルムアルデヒドに関する規制でした。日本の許容レベルは、他の市場の2分の1で、イケアの製品は対応できていませんでした。

イケアはこの難題に対し、遅かれ早かれほかの市場でも規制は強まるだろうと考え、コストを増大させることなく家具のホルムアルデヒドを日本レベルに引き下げるプロジェクトを立ち上げました。今では、日本のホルムアルデヒド基準が全イケア製品の基準となっています。この取り組みは、イケアにとって時間に追われることなく前もって解決策を探すチャンスとなり、会社の環境意識の高さを示すことにもなりました。

イケアは、全社的な活動の方向性として社会的価値と経済的価値を両立しているCSV*企業です。そして、次世代の成功モデルであるCSV企業となるためには、ミッション/ビジョン/バリューを徹底的に浸透させることが最重要課題であることを示しています。

(参考)

「IKEAモデル」アンダッシュ・ダルヴィッグ著(集英社、2012年)

*CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)については、以下を参照

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=162

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=436

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