製品の「CO2削減貢献量」と「トリプルボトムライン価値」評価

2012-12-12 09:09 pm

製品のライフサイクルでのCO2排出量を“見える化”するカーボンフットプリントを算出する動きが、経済産業省の試行事業などを通じ、徐々に広まっています。

一方、各企業においては、呼び方はいろいろありますが、環境に配慮した製品の基準を独自に設定し、そうした製品の開発を促進するとともに対外的にアピールする動きがあります。

例えば、東レでは、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献する分野で重要な役割を果たす製品を独自基準に基づき「グリーンイノベーション製品」と認定し、こうした製品による事業をグリーンイノベーション事業としています。東レは、2020年近傍で、グリーンイノベーション事業による売上を1億円、CO2削減貢献量を年2億トンとする目標を掲げています。

個人的には、東レの掲げている「CO2削減貢献量」という概念は重要だと思っています。日本の得意とする電子部品や機能材料などは、最終製品におけるCO2削減に大きく貢献しています。例えば、国内で消費される電力の約57%はモーター稼動によるとされ、稼動中のモーターの効率を1%高めると、その省エネ効果は原子力発電所1基分に相当すると言われています。

東レが世界No.1の位置を占める炭素繊維なども最終製品の軽量化を通じてCO2削減に大きく貢献していますし、住宅の断熱材、太陽光発電のパネルなど、機能材料は、様々な用途において、CO2削減に貢献しています。こうした機能材料の既存材料に比べたCO2削減貢献をアピールするため、日本化学工業会は、「CO2削減貢献量策定のガイドライン」を策定しています。

カーボンフットプリントとともに、「CO2削減貢献量」の概念も一般化すれば、CO2削減に貢献する製品開発が加速するものと考えます。

さらに“見える化”を進めている事例として、旭化成は、製品のCO2削減貢献量を「環境価値」として、それに加えて「経済価値」「社会価値」の「トリプルボトムライン価値」を算出しています。

「経済価値」としては、製品の経済波及効果を、「社会価値」は、それぞれの製品の提供する価値にもとづき、健康、安全などへの貢献を定量化しています。

人工腎臓を例にとれば、旭化成の人工腎臓を利用している10万人を想定して、人工腎臓によって患者が延命し、社会復帰した場合の利益として、患者が元気に働き続けることによる、患者と医療従事者の国内総生産(GDP)押し上げ効果、また、患者および医療従事者が消費を行うことによる社会へのプラス経済効果を<便益>として算出しています。一方、マイナス面として、患者の治療コストと家族の負担を<費用>として換算し、<便益>から<費用>を差し引いて、これを社会価値と見なしています。

もうひとつの事例、ヘーベルハウスでは、家屋が地震や火災に極めて強い、という側面を社会価値として、木造住宅に対して軽減された火災保険料率で社会価値を測っています。(詳細は、参考にある弊社HP参照)

このような“見える化”は、製品・サービスの提供価値を改めて見つめ直す機会になります。また、製品・サービス間の本質的価値の比較も可能となり、製品・サービスのポートフォリオ戦略にも活用できます。

「CO2削減貢献」をはじめとする社会への貢献価値が“見える化”されれば、日本の製品・サービスの強みがさらに活かせるものと考えます。

(参考)

www.cre-en.jp/library/changing/detail_003/

www.nikkakyo.org/upload/3255_4801_price.pdf

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