自社ならではの素材の使い尽くし

2013-04-25 08:48 am

CSV*/シェアード・バリューの3つのアプローチの1つ「バリューチェーンのCSV」の活動モデルに「資源利用の効率化」があります。資源や原材料を効率的に利用し、有限な資源の保全、開発による生態系破壊の抑制、廃棄物の削減等の「社会にとっての価値」を生み出しつつ、コスト削減等の「自社にとっての価値」を生み出そうとするものです。

「資源利用の効率化」に関して、一部食品企業は、自社が最先端の知識を持つ自社ならではの素材を使い尽くしています。自社ならではの素材とは、味の素のアミノ酸、キューピーのタマゴ、伊藤園のお茶、カゴメのトマトなどです。

味の素は、サトウキビやキャッサバなどの農産物を原料として、非常に資源効率の高い発酵法でアミノ酸を製造しています。また、生産工程で出る副生物は、肥料や飼料として地域の農・畜・水産物を育むために活用するなど、資源をムダなく活かし切る取り組みを進めています。味の素グループでは、副生物をもう一つの製品=Co-Products(コプロ)と位置づけ、アミノ酸発酵製造の過程でできる副生物は、ほぼ100%、コプロとして再利用しています。葉面から効果的に栄養成分などを吸収できる葉面散布剤など、高付加価値のコプロも生み出され、事業展開されています。

キューピーは、マヨネーズなどで、国内で生産されるタマゴの約9%を原料として商品を製造していますが、その過程で発生する約42億個分の殻をはじめ、素材をすべて無駄にすることなく有効活用しています。例えば、卵殻は、作物に必要な微量要素を含むため肥料として活用しているほか、卵殻のカルシウムが多孔質な構造で、胃液で溶解されやすく体内への消化吸収に優れているという機能を活用したカルシウム強化剤、通気性の良さを生かした壁紙原料としての活用などを進めています。また、卵殻の内側にある卵殻膜については、皮膚との親和性の良さを生かした化粧品や衣類などに活用しています。

伊藤園では、お茶の製造工程で排出する茶殻を工業製品の原料として再利用する「茶殻リサイクルシステム」を展開しています。2003年に初めて以来、商品化や共同開発など協力会社は150社に広がり、30製品を開発しています。抗菌性、消臭性、香りといった茶殻の機能を活かして実用化した茶殻入り製品は、名刺、封筒などの紙製品、健康サンダル、枕、空き容器回収BOXなどの樹脂製品、せっこうボードなどの建材など、多岐にわたります。伊藤園には、業種を問わず茶殻を使いたいという問い合わせが沢山来ているそうです。

カゴメでは、ケチャップやジュースの製造時に出るトマトの皮を、農家向けに肥料として提供しています。さらに、収穫期である夏の3ヶ月に大量に発生するトマトの皮を再利用するために、工業製品などへの活用を検討しています。

これらの例に見られるように、生産工程で生み出される副生物も何らかの機能を持っています。そうした機能を生かせば、廃棄物が新たな価値を持つ製品として生まれ変わります。素材を知り尽くした企業が、自社ならではの素材の機能を考え尽くし、その機能が活かせる市場を考え尽す。さらには、素材やその機能をオープンなプラットフォームとして、様々なステークホルダーの協力も得つつ、その可能性を考え尽す。そうすることにより、素材はその力を最大限に発揮できます。副生物も含み、自社ならではの素材の可能性を考え尽くし、「ムダを減らして価値を生み出す」。これもシェアード・バリュー思考の1つです。

(参考)

「食品廃棄物の活用新段階」日経産業新聞(2013年4月4日)

*「CSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)」については、以下を参照

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=162

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=436

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=774

 

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